6選翌日に語った“苦しい選挙”とこれからの4年

当選確実がでた直後の村井知事
当選確実がでた直後の村井知事
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任期満了に伴う宮城県知事選挙で6回目の当選を果たした村井嘉浩知事が、投開票日の翌10月27日、仙台放送のニュース番組に県庁から生中継で出演し、選挙戦を振り返った。SNS上での誹謗中傷や若年層の投票行動への分析、そして「総仕上げ」と位置づける6期目の県政への抱負を語った。

「非常に嬉しかった」一夜明け、県職員に迎えられて

Q.当選から一夜明け、県職員の皆さんに迎えられた時はどのようなお気持ちでしたか。

村井知事:
非常に嬉しかったですね。皆さんの喜んでいる顔を見て、期待してくださったんだなと思いました。

「若い人はSNSだけを見る」接戦の背景に“世代間の分断”

Q.選挙期間中は「大変厳しい選挙」と語り、仙台市内では和田政宗氏が約3万6000票上回りました。この苦戦の理由をどう考えていますか。

村井知事:
これは地域の差ではなくて、年代の差だと思っています。高齢化率の高い地域ほど私の得票率が高いんですね。やっぱり仙台は圧倒的に若い人が多いので、その差だと思います。
じゃあなぜ若い人が私に投票されなかったのかということなんですが、これ分かりませんが、私が思うに若い人はテレビを見ない、新聞を見ない、SNSだけを見るという方が多いので、そういった方たちが今回の参政党のいろんなネット攻撃に感化された。これが大きいのではないかなと自分では思っています。

Q.そういったことを受けて、どのような選挙戦でしたか。

村井知事:
かなり厳しかったですね。やはり街を歩いていると、仙台市内は若い人から「売国奴」とか「おい、土葬」とか「お前メガソーラー賛成なんだろう」とか、もうそれ残念ながら一人一人に説明する時間がないんですよね。非常に苦しかったですね。

「時には傲慢に見えたかもしれない」20年の県政を省みて

Q.これまでの県政運営の中で省みる姿勢はありますか。

村井知事:
決して傲慢ではないんですけれども、職員がなかなか前に出て批判を受けて困るような時は、私が前に出て批判を受けることになりますので、そういった今までのやってきたことが時には傲慢だというふうに県民の皆さんの目に映ったのかなと思って、ちょっと反省しています。

「子育ては市町村の役割」県は財源確保と格差是正へ

Q.出口調査では子育て世代に和田氏に支持が集まりました。当選後、子育てしやすい県を目指すと話されましたが、具体的には?

村井知事:
子育ては基本的には市町村の役割なんですね。小学校も中学校も給食も保育所も学童保育も全部市町村ですよね。医療費なんかも市町村がやっています。
窓口の調整など、デコボコをならしていくのが県の役割。そして国に対してしっかり財源を確保してくる。これも県の役割だというふうに思うんですね。
ですから全部県がやるのではなくて、市町村の声をしっかり聞きながら、市町村が子育てをしやすいような環境、そしてその声を宮城県だけではなくて全国知事会として国に発信していって、しっかり財源を確保してもらう。こういったようなことでどこに住んでいても同じサービスが受けられるようにしていくというのが県の役割ではないかなというふうに思っています。

Q.県は調整役に徹するということですか。

村井知事:
そういうわけではないです。例えば子供の乳幼児医療費、これは就学前までは、小学校に入るまでは県が全部持っているんですよ。全県の分、仙台市の部分を含めてですね。それに各市町村が上乗せしていって、来年の4月からは仙台市も18歳まで無料になるんですよ。ですから県がやる分と市町村がやる分、それぞれ協力しながらやっていくということですよね。何でも県がやるというのは無理です。

「土葬墓地は絶対やりません」明確に否定

Q.これまでの発言について伺います。まず土葬墓地の整備の検討、これは本当にないのでしょうか。

村井知事:
やりません。絶対やりません。

Q.理由も改めてお願いします。

村井知事:
宮城県はお墓を造る許認可が市町村にあるんですよ。全市町村長がやらないと明言されましたので、もうやりません。

「7期目はない」次の4年は“総仕上げ”

生出演で質問に答えた村井知事
生出演で質問に答えた村井知事

Q.「もう選挙は最後になる」とおっしゃいました。7期目の挑戦は本当にないのでしょうか。

村井知事:
ありません。この4年で、次の4年で私の総仕上げ、村井県政の総仕上げをしたいと思います。

Q.その総仕上げとなる6期目、必ず成し遂げたいことは何でしょうか。

村井知事:
私はこの20年間「富県宮城」を掲げて、県内総生産10兆円にする、そして宮城県の産業構造を大きく変えて製造業のウェイトを高めてバランスのいい経済にする。外から宮城県の中にお金が入ってくる仕組みを作る。そして所得を上げるということをずっと言ってまいりました。
今まで自動車産業が核だったんですけれども、もう一つの核、半導体。世界的な半導体企業を誘致して、もう一つの大きな覚悟を作りたいと思います。

「村井県政の総仕上げ」へ

村井知事はインタビューの最後、「この4年で総仕上げをする」と重ねて強調した。
激戦を経て6期目を迎えた知事の視線は、次の世代に「富県宮城」をどう引き継ぐかに向けられている。

仙台放送
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