安倍晋三元総理大臣を手製のパイプ銃で撃ち、殺害した罪などに問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判が始まりました。
山上被告は「全て事実です。間違いありません。法律上どうなるかは弁護人に任せる」と述べ、起訴内容を認めました。
山上被告は事件当時よりも髪がかなり伸び、白髪まじりの姿と風貌が大きく変わっていたため、傍聴人が息をのむような様子も見られました。
また黒のTシャツにグレーのスウェット姿でした。
検察側が起訴状を読み上げている間、山上被告はうなずいたり、首を振ったりする姿も見られました。
そして裁判長から起訴内容について「間違いないか」と問われ、かなり小さな声で間違いありませんと答えていました。
裁判所近くの奈良公園では、けさ=28日朝から傍聴券の抽選が行われ、32席の傍聴席を求めて727人が列を作りました。
■安倍元総理を自作の銃で殺害した罪など問われる
山上被告は2022年、奈良市で選挙の応援演説をしていた安倍晋三元総理を自作のパイプ銃で撃ち、殺害した罪などに問われています。
捜査関係者などによると、山上被告の母親は旧統一教会の信者で、多額の献金を繰り返し、生活は困窮を極めていたといいます。
山上被告は逮捕後の調べに対し、安倍元総理が旧統一教会の関連団体に送ったビデオメッセージを見て、「教団とつながりがあると思った」と供述し、事件を決意するきっかけとなったとみられています。
■殺人罪は“争いなし” 争点は“刑の重さ”など「宗教被害」の影響は
山上被告が問われている罪のうち、弁護側は安倍元総理の殺害についてなどは認める一方、パイプ銃を製造した罪や銃刀法違反について成立を争うとみられます。
また山上被告にどのような重さの刑を科すべきかも争点とみられ、弁護側は、旧統一教会による「宗教被害」が事件につながったと主張し、山上被告の母親や宗教学者を証人として呼ぶ方針を明かしています。
裁判は予備日と合わせて19回予定されていて、判決は来年1月21日に言い渡される見込みです。