「書店」といえば、たくさんの本が並んでいる店をイメージする人が多いだろう。しかし、わずか“4段の本棚”で営業する店が秋田市にある。菓子店の一角を間借りして営む小さな書店。本の数は少ないものの、オーナーの熱い思いと優しい気持ちがぎっしり詰まったラインナップとなっている。
本の“推し活” 本棚4段の書店
秋田市の菓子店の一角で営業する書店「motto」。
2025年1月にオープンしたこの書店の売り場スペースは、4段の本棚だ。
「本が大好き」というオーナーの畠山彩さんが、本にまつわるイベントを開催する時に使っていた場所を間借りする形で店が誕生した。
店内には本を読むことができるスペースがあり、購入した本を菓子店のスイーツとともに楽しむことができる。
4段の本棚には、畠山さんが読んだ中で勧めたい本がテーマごとに並んでいる。一般的な書店とは異なるラインナップだ。
畠山さんは「ある意味“推し活”。『この本面白かったから読んで!』という普及させたい気持ちが強い」と話す。
利用者望む一冊選ぶ「選書サービス」
テーマやラインナップは定期的に変わるため、時期によって様々な本と出合える。
今の時期のおすすめは「芸術」のコーナー。画家・ゴッホの死の真相に迫る作品『リボルバー』など、アートや音楽に関連した小説やエッセイが並んでいる。
また、mottoは一人一人に合った本を届ける「選書サービス」を提供している。
「普段は手に取らない本を読んでみたい」「子供が喜ぶ絵本がほしい」など、利用者からのアンケートをもとに、畠山さんがおすすめの本を選ぶ。
利用者とはあえて手紙でやりとりをするんだとか。
その理由は「手紙はメールなどと違い、すごくその人のことが伝わってくるから」と話す畠山さん。ポストに手紙が入っているのを見つけた時の「あ、来てる!」という“わくわく感”がいいのだという。
自分にぴったりの本に出合いに
普段あまり読書をしない人におすすめの本として、畠山さんが紹介してくれたのは、くどうれいんさんの『うたうおばけ』。本を読まない人でもスラスラ読めるエッセイだ。
日常の切り取り方がうまく、物事の捉え方にハッとするようなところもあり、読み応えのある一冊だという。
読書が好きな人も、苦手だけれど挑戦してみたい人も、mottoを訪れてみれば自分にぴったりの一冊に出合えるかもしれない。
(秋田テレビ)
