アイドルと聞くと何をイメージするでしょうか。
歌やダンスなどに加え、衣装も欠かせない要素です。
AKB48の衣装を生み出し続けるデザイナーの思いに迫ります。
一つ一つ細かく刺しゅうされた装飾は華やかでありながら、どこかはかなさを併せ持っています。
無名の少女をスポットライトを浴びるミューズに変身させる魔法を持った衣装。
そのデザイナーをファンは「神」「素晴らしい。AKB48を輝かせる人」「尊敬…。『すごい!』とずっと思ってる」などと表現します。
茅野しのぶさん(43)は高校から専門学校に進み、AKB48誕生直前、22歳のときに直談判の末、スタイリストになりました。
それ以来、20年にわたりアイドルの歴史にさんぜんと輝くグループと共に歩んできました。
オサレカンパニー クリエイティブディレクター・茅野しのぶさん:
(Q.20年続けていると考えていた?)全然考えていない。アイドルと実直に向き合って気づいたら、20年たっていたというのが一番近い感覚かも。
現在、東京駅前の大丸東京店では「AKB48大衣装展」が開催されています。
AKB48がデビューした2005年から人気曲の衣装まで見ることができます。
茅野さんはこれまで約4万着手がけてきました。
13枚目シングル「言い訳Maybe」のミュージックビデオで前田敦子さんが着用した衣装、32枚目シングル「恋するフォーチュンクッキー」のミュージックビデオで指原莉乃さんが着用した衣装、そして今回初めての展示となる柏木由紀さんの卒業ドレスが展示されています。
中には、メンバーの名前を覚えてもらうために作ったものもありました。
茅野しのぶさんは「売れてほしいし盛り上がってほしいし、彼女たちを知ってほしい気持ちが強かった」と語りました。
特に印象深いというのがAKB48のメジャーデビュー曲「会いたかった」の衣装です。
オサレカンパニー クリエイティブディレクター・茅野しのぶさん:
(Q.どういう思い出がありますか?)私が初めてデザインした衣装。「(会いたい人に)会いたい」という気持ちを伝える楽曲だったので、爽やかでシンプルな形をイメージした。
そんな非日常の世界を進んできた茅野さんは今、まったく逆の日常、学校制服の制作も行っています。
アイドルの衣装と学校の制服という正反対の世界ですが、茅野さんにはジャンルが変わっても変わらない信念があります。
オサレカンパニー クリエイティブディレクター・茅野しのぶさん:
テンションが上がるように、自分自身も自信がつくようにしてあげたい。
アイドルの衣装と紡いだ20年は、コンセプトを共有しながら新しい領域へと広がっています。