2024年4月、熊本市のアパートで交際相手の女性に暴行を加え、死亡させるなどした罪に問われていた男の裁判員裁判で判決だ。被告側は「責任能力がない」として無罪主張をしていたが、10月21日に熊本地裁は男に懲役7年を言い渡した。

争点は被告の『責任能力』の有無

判決を受けたのは、熊本市東区長嶺南に住む作業員・早瀬真吾被告(43)。

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判決などによると、早瀬被告は2024年4月に同じ就労支援施設に通う交際相手の木下春千代さん(当時71)が住む東区月出のアパートで、木下さんに対し背中を蹴るなどの暴行を加え、外傷性ショックで死亡させ、その後、木下さんの口座から複数回にわたり計19万円余りを引き出し、盗んだ罪に問われていた。

これまでの裁判で、早瀬被告側は起訴内容については「争わない」としたものの、「知的障害などがあり、行動を制御できず、責任能力がない」として無罪を主張。

一方、検察は「知的障害が犯行に与えた程度は著しいとは言えず、早瀬被告には責任能力があった」と指摘。懲役8年を求刑していた。

知的障害の影響は否定できない一方

10月21日の判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は、早瀬被告の犯行について「知的障害の影響は否定できない一方、暴行の違法性を認識し、周囲の状況を配慮していたことから、責任能力があった」と指摘。

さらに「高齢の木下さんに対し、複数回の暴行を加えるのは執拗で悪質。木下さんが反抗的な態度をとったことに腹を立てたという動機に、酌むべき事情はない」などとして、懲役7年を言い渡した。

最後に、中田裁判長は早瀬被告に対し「木下さんにしたことの重みを改めて考えて、その上で償いとして何ができるか考えてほしい」と諭した。

(テレビ熊本)

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