熊本市電の人気車両『5014号車』が、2025年2月に運行を終了し引退した。半世紀近くにわたって親しまれてきたこの車両の引退イベントとして、写真撮影会が行われた。

製造から68年 50年近く熊本市電走る

10月19日に熊本市西区の上熊本車両工場に集まった鉄道ファン。そのお目当ては、2025年2月に惜しまれながら引退した熊本市電の『5014号車』だ。

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1957年(昭和32)に製造されたこの車両は、熊本市交通局が1978年(昭和53)に福岡市の西日本鉄道から譲り受け、以降、多くの市民を乗せて熊本の街を走ってきた。

2024年に熊本市交通局が行った『推し電総選挙』では、ファン投票1位に輝くなど、多くの人たちに愛されてきたが、部品の確保ができなくなったことから、2025年2月の車検満了とともに、その役目を終えていた。

今回、熊本市交通局は『5014号車』への感謝の気持ちを込めて、写真撮影会を実施。受け付けを開始した、その日のうちに定員40人の枠は埋まったということで、引退後も変わらない人気の高さがうかがえる。

参加した人は「募集開始直後にすぐ応募して、参加できた。隅々まで見られる機会はなかなかないので、今回は楽しもうと思う」や「いい写真が撮れるか不安だが、ワクワクしている」と話す。

今年度いっぱいは熊本車両工場で保管も…

この日は、『推し電総選挙』で2位だった『1063号車』と『1201号車』を横に従えた姿を、参加者たちがカメラに収めていた。

参加した人は「以前、狙って乗ったりしていたので再会できて、うれしい」や「大阪から(参加)。何度か休みを取って(写真を)撮りに来ていて、今年でおしまいになると聞いた時も慌てて撮りに来た。このまま保存してもらえるとうれしいが…」と、写真を撮りながらも『5014号車』の今後に期待を寄せた。

熊本市電101年の歴史のうち、47年にわたって人々を運び続けてきた『5014号車』。参加者たちがシャッターを切る音は、『ありがとう』と感謝を伝えているようだった。

熊本市交通局によると、『5014号車』の今後については、2025年度いっぱいは上熊本車両工場で保管されるということだが、その後については『未定』という。人気の高い車両ということもあり、引き取り手などが見つかれば、またあの姿を見られるかもしれない。

(テレビ熊本)

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