住宅近くのわなに子グマ2頭 親グマが付近をうろつく

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住宅街に響いたクマの鳴き声。
10月22日、仙台市青葉区上愛子の住宅近くでは、親子とみられるクマ3頭が駆除された。

午前9時ごろ、青葉区上愛子の住宅裏で、クマ2頭が箱わなにかかっているのを警察や猟友会などが確認。

わなにかかっていたのは、体長60センチと70センチの子グマ2頭。
そのすぐそばを、体長1メートル40センチほどの親グマとみられる成獣1頭がうろつき、離れなかったという。

現場で警戒を始めてから約2時間半後。現場に銃声が響いた。

宮城総合支所・まちづくり推進課 大須賀淳課長:
(親グマとみられる個体が)すぐこちらに向かって来られる状態だった。やはり危険ということで処理した

市によると、現場近くではクマの目撃が相次いでいて、この前日も別のクマ2頭を駆除したばかりだった。

今回のクマの出没でけがをした人はいなかったが、近所の人はクマを警戒して、日課である散歩ができなくなったと語った。

収まらないクマの出没 仙台市中心部にも相次ぐ

仙台市青葉区大手町 マンションやビルが立ち並ぶ
仙台市青葉区大手町 マンションやビルが立ち並ぶ

同じ日の午前5時15分ごろ。仙台市青葉区大手町の路上で、近くを通った人が体長80センチほどのクマ1頭を目撃した。

現場はJR仙台駅から約1.7キロ、地下鉄東西線の大町西公園駅からは300メートルほどという、マンションなどが立ち並ぶ市街地だ。

実はこの前日にも、ほぼ同じ時間、同じ場所でクマが目撃されていたほか、この現場からさらに700メートルほどの広瀬川河川敷では、3日ほど前に親子とみられるクマ5頭が目撃されたばかりだった。

住宅地に囲まれた公園でも目撃情報

台原森林公園
台原森林公園

青葉区の台原森林公園でも、体長1メートルほどのクマのような動物が目撃されていた。

通報から一夜明けた22日朝は、付近の住民がクマよけの鈴を身に付けるなどして通行する姿が見られた。

その後、青葉区は、新たな目撃情報がないことを受け、立入禁止の措置を順次解除した。

クマは川沿いの藪を伝って移動するという
クマは川沿いの藪を伝って移動するという

森林公園とは言っても、周囲は住宅地が囲んでいて、人の往来が多い地下鉄駅もほど近い。
そんな市街地の中の公園でも、クマが出没する可能性は十分にあると専門家は指摘する。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん:
台原森林公園から西にある水の森公園で5月にクマが出没している。そこから非常に近いというのがまずひとつの可能性。さらに、公園のすぐ北側に流れている七北田川が侵入ルートとなる可能性もある

大西さんによると、クマには川沿いなどの薮に姿を隠していく「移動ルート」があるという。
公園のすぐ北にある七北田川の支流を経て、公園に入ってきた可能性を指摘した。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん
森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん:
東北最大の都市、仙台ですらクマの出没が相次ぐという状況。宮城県全域、どこにクマが出てもおかしくない

“杜の都”仙台ならではの事情

大西さんはさらに、仙台市内の人の生活圏でクマの出没が相次ぐ背景に、”杜の都”といわれる仙台市ならではの事情を指摘する。

森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん:
仙台は中心部にも緑地公園がある。自然と私たち人間の生活が一緒になっている、非常にいい環境である一方、クマの侵入を促してしまうような景観構造になっている

今年は特に、クマ出没の前線がヒトの生活圏に及んできているという。

クマよけの鈴や撃退スプレーといった個人でできる対策のほかに、生活圏と山林の間にある薮を狩り、クマが隠れられる場所をなくすことも対策として重要だと指摘する。

宮城県は9月末までを想定していたクマ出没警報を、10月末まで延長した。
だが、大西さんによると、クマの出没は12月の上旬まで続く可能性があるという。

これまでの常識が通用しないアーバンベアの出没。多角的な対策が求められる。

仙台放送 

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