全国各地で相次ぐクマの被害。
2025年度のクマによる死者数はすでに9人と過去最多となり、政府や自治体が対応に追われています。
21日午前8時半ごろ、北海道・浦河町で、幼稚園バスの近くにクマ3頭が現れ車内に緊張が走りました。
幼稚園バスの車内から撮影された映像には、園児たちが乗る車の前で3頭のクマが道路をわたっている様子が映っています。
画面の奥には歩行者の姿もあります。
クマは親子とみられ、親グマは体長約1.5メートル、子グマは1メートルほど。
3頭のクマは道路を横断したあと、住宅の間に姿を消しました。
けが人などは報告されていません。
一方、福島県の会津美里町では、22日午前7時半ごろに高齢の夫婦が相次いでクマに襲われました。
80代の妻はごみを出そうと自宅から出た際に遭遇し、叫び声を聞いて駆けつけた80代の夫も襲われました。
妻は首の辺り、夫は首にけがをしているということです。
その後のクマの行方は分かっていません。
そして、秋田・北秋田市では、体長1メートルほどのクマの成獣が捕獲されました。
22日午前7時ごろ、市内に住む男性から「物音がして確認をしたらクマが自宅の地下に入り込んでいる」と、猟友会を通じて市に連絡が入りました。
クマは地下の物置にとどまっていましたが、市が物置の入り口に箱わなを設置したところ、5分ほどで捕獲されたということです。
そして、岩手・北上市では、クマに襲われ死亡した温泉従業員の身元が21日に判明しました。
映像に映っているのは、子供たちが描いた絵を背にほほ笑む笹崎勝巳さん、60歳です。
10月16日、勤務する北上市の瀬美温泉の露天風呂で清掃作業をしていたところ行方がわからなくなり、翌日の17日、付近の山林で遺体が発見されました。
遺体や現場の状況から、笹崎さんは発見現場までクマに連れ去られたとみられています。
遺体の首や背中には大きな損傷があり、警察は司法解剖の結果と遺体の身体的特徴から笹崎さんと断定しました。
瀬美温泉の岩本和裕代表取締役は当時、身元が判明していなかった笹崎さんについて、「ショックですし、当然後悔していますよね。言葉では表せないですよね」と話していました。
かつて、岩本さんとプロレス団体の経営に携わった縁で、2025年3月から妻や幼い2人の娘と移り住み、瀬美温泉で従業員になりました。
岩本さんは「優しくて本当に家族を大切にしていた。奥さんと子供への愛情というのは、本当に父親の見本ではないか」と話し、毎朝娘を見送っていた笹崎さんの姿が目に焼き付いているといいます。
各地で相次ぐクマによる被害を受け、木原官房長官は「今年度のクマによる死者数は、すでに9名と過去最多となっています。地方自治体からの情報に注意するなど、引き続き十分な警戒をお願いいたします」と述べ、警戒を呼びかけました。
こうした中、富山・立山町では22日、クマが出没した際、自治体の判断で市街地での発砲を許可する「緊急銃猟」を円滑に行うための実地訓練が行われました。