通販大手の「アスクル」のシステム障害。
いまだに復旧のメドは立っておらず、医療機関から悲鳴が上がるなど、他社を含めて、その影響は拡大している。
都内クリニック「大きなことが起こらない限度は1週間」
アサヒグループに続いてサイバー攻撃の標的となったのはネット通販大手の「アスクル」。

ホームページを見てみると…システム障害が発生した影響で、いまも商品の出荷などが停止されていた。
オフィス用品で知られるアスクルだが、消毒液や手術用メスなど医療用品を幅広く扱っている。
影響は、高齢者などの自宅で医療ケアを行う現場にも…。

東京・足立区にある訪問看護を行う会社では、アルコール消毒用の綿が残りわずかに迫っていた。

訪問看護ステーションブロッサム 西村直之社長:
1…2…3…4…5…6…7、今、在庫があと7箱なんですね。これがあと10日ぐらいしかもたない。
またインフルエンザが本格的な流行のシーズンに突入する中、このまま出荷停止が続けば、“医療専用マスク”もあと1ヶ月ほどで底をつくという。

訪問看護ステーションブロッサム 西村直之社長:
これだけの単価で買えるということは、アスクルが一番安いと思う。アスクルをずっと使っている。安くスムーズに買えるところを探す。
東京都内にあるクリニックでも、一部の医療用品の在庫がひっ迫する事態に陥っていた。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
ピンセットやハサミ、縫合に使う鉗子(かんし)も、なかなか普通の通販では買えないので、アスクルから買っています。これもアスクル…これもアスクル。
このクリニックでは、医療備品の約7割をアスクルに注文している。

皮膚を縫合する医療用のホチキスは、残り1箱となっていた。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
備品関係で致命的になることもあり得る。1ヶ月以上続いたらかなり厳しい。まず何事も大きなことが起こらない限度は1週間。
影響は、他のネットストアにも及んでいた。

アスクルに商品の配送を委託している生活雑貨専門店の「無印良品」や「ロフト」は、ネット販売が停止。

さらに百貨店の「そごう西武」も、ネット通販での一部の商品の購入ができなくなっている。

身代金要求型のコンピューターウイルス=ランサムウエアによるサイバー攻撃。
アスクルのシステム障害は復旧のめどが立たず、長期化の様相を見せている。
こうした状況について専門家は…。

ITジャーナリスト 三上洋氏:
現状でも復旧できないことをみると、ランサムウエアによって社内の多くのシステムが復旧できない状況にあると考えた方が自然。長期化すると少なくとも1ヶ月、もしくは数カ月以上かかってもおかしくありません。

発生から3週間が経ったアサヒグループHDのシステム障害で、お歳暮ギフトの一部商品の販売が休止になり、影響が年末商戦にまで広がっている。
(「イット!」10月21日放送より)