日本人の3人に1人が患っているとされる脂肪肝。「ただの脂肪の蓄積」と甘く見られることも多いですが、放置すると全身の健康を脅かす危険な状態になることもあります。その危険性や改善方法について専門医に聞きました。
福山千奈アナウンサー:
「“沈黙の臓器”といわれる肝臓は、痛みを感じにくく病気が進行するまで自覚症状があらわれにくい臓器です。その中でも消化器内科界で注目されているのが、脂肪肝です」
脂肪肝について聞いたのは、吉田医院の沖野真理子医師です。
糖質や脂質などを代謝する臓器である肝臓は、糖質や脂質を中性脂肪に変えます。この中性脂肪はある程度は血中に流されますが、代謝が間に合わず過剰となった中性脂肪は肝臓に蓄積します。これが脂肪肝です。
脂肪肝の3大原因は▼肥満▼アルコール▼糖尿病。
3大原因といっても、肥満の人のほとんどは脂肪肝を患っているという統計もあります。
「脂肪肝は全く症状がなく、病院に行く契機にならない。また脂肪肝のイメージがすごく軽いので、健診で見つかっても受診されない方がいる」と沖野医師。
3大原因のうち、一つでも当てはまれば脂肪肝のリスクが増大します。
脂肪肝が進むと肝硬変、肝臓がんとなり、さらに進行すると心筋梗塞や脳梗塞など、全身の健康を脅かす状態になるため甘く見てはいけません。
福山千奈アナウンサー:
「自分は太っていないと思っている人、脂肪肝は痩せている方でも油断禁物です!」
沖野医師は「脂肪肝は太っている人に多いイメージだが、日本人などのアジア系の人種は欧米人に比べて、痩せ型でも脂肪肝になりやすいといわれていて、痩せ型の約15%が脂肪肝だといわれている」とします。
沖野医師によりますと、アジア人は肝臓の代謝能力が低く、肝臓に脂肪をためやすい体質だといいます。
「脂肪肝」イコール「肥満」というわけではなく、痩せていても高カロリーなものを食べ過ぎたりすると脂肪肝になることがあります。
予防のために一番重要なのは「食事」だと沖野医師。「大量飲酒や高脂肪食、糖質の過剰摂取、加工食品を控え、肥満の人は体重を7%~10%減らすことが重要」
身近にできる予防法は「食事」で、特に意識したいのが野菜。1日に350グラム取ることが理想です。(レタス半玉+トマト1個分程度)
血糖値の上昇を抑えるため、野菜の量に加えて食べる順番も大事です。野菜を最初に食べる「ベジファースト」を心掛けましょう。
そして、積極的に摂取したいのがビタミンE。ビタミンEは肝臓の傷ついた部分の修復を助け、肝硬変への進行を防ぐ効果があります。
アーモンドやウナギなどの食品にも含まれていますが、脂肪肝と診断された場合はより確実に効果を得るため、内服薬で補いましょう。
「脂肪肝は1日でなるわけではなく、治療にも長時間かかる。改善するためには、糖尿病になりにくい食事、肥満になりにくい食事をとり、お酒をたくさん飲まないこと」と沖野医師。
脂肪肝と診断されたら、重い病気になる前に、食生活を見直してみてください。