「Live News α」では、「for the NEXT」を共通テーマに未来に向けたSDGs関連のニュースをお伝えします。
17日は、捨てない循環型社会につながるインフラ構築へのアプローチに迫りました。
花柄のワンピースに、落ち着いた色味の腕時計、パステルカラーのぬいぐるみまで。
実はどれも不要品として回収されたリユースの商品です。
回収から選別、そして再流通までを一貫して行う企業が掲げるのは「捨てない循環型社会」。
その先に目指すのは…。
ECOMMIT・川野輝之代表:
モノのつくり方から変えていかなきゃいけない。我々はそのインフラを担う。
東京・多摩市にある大型のマンション。
住人の女性が紙袋を手に向かった先は、ロビーに設置された大きな茶色いボックスです。
紙袋から取り出したおもちゃをその中へ入れます。
マンションの住人:
誰かに使ってもらえるといいなと思って、衣服とかも時々出している。
中をのぞいてみると、おもちゃにランドセル、きれいに畳んだ洋服もありました。
ごみ箱ではなく、不要品の回収ボックス「PASSTO」です。
マンションの住人:
通りやすいところに設置してあるので、よく利用する。(Q. 今までは不用品はどうしていた?)捨てていました。売り買いするサイトもあるが、どうしても忙しいとついつい捨ててしまっていたので、こうやって誰かに使ってもらえるのはいいなと。
マンションを管理する東京建物・幸地浩一郎さん:
導入してから約10カ月たつが、2トンを超える衣服と雑貨が回収できている。かなり大きな廃棄物削減の効果があるんじゃないか。
このサービスを手掛ける「ECOMMIT」は、設置された回収ボックスの管理から回収品の再流通まで全て自社で行っています。
サービス開始から2年。
現在、マンションのほか郵便局や商業施設など、回収拠点は全国で約5000カ所にも上ります。
回収された洋服や雑貨はプロがチェックし、リユース可能かどうかを判断。
ブランドや流行など独自の基準で国内向け、海外向けに分類しています。
スタッフ:
バッドボーイというものなんですけど、90年代とかにはやっていて、私も小学生の時に着ていたが、今Y2Kだったり平成がはやっているので、こういうものが出てくると若い子が買ったりするので、ピックアップするようにしている。
おもちゃや雑貨は壊れた箇所や汚れ、カビがないかどうかをチェック。そのままでは再利用できない洋服でもリサイクル繊維の原料などに生まれ変わります。
こうして選別された回収品は、国内外の古着販売店などに納品するほか自社のインターネットでも販売し、回収品のリユース・リサイクル率は98%と、単純焼却された場合と比べ約80%のCO2削減につながっています。
しかし…。
ECOMMIT・川野輝之代表:
(リユース品とリサイクル原料)両方販売して収益を得ていくモデルだが、残念ながらこれだけだとオペレーションコストが膨大で賄えない。
そこで、収益化を図るために着目したのが回収品のデータ。
回収から再流通まで全ての過程を追うトレーサビリティシステムを独自に開発しました。
回収する段階からQRコードで、いつ、どこで、どういったものが回収されたかなどをデータ化し、リユース率やリサイクル率の集計に活用。
様々な企業にデータを販売しています。
あるアパレル企業は、こうした回収品の追跡インフラを活用することでリサイクルしやすい服、長く着てもらえる商品の開発などに役立てているといいます。
モノを捨てない、ごみを増やさない、モノづくりの段階から見直す世の中へ。
ECOMMIT・川野輝之代表:
当たり前にモノを循環させる、そんな世の中が来る。一度市場に出るものをもう一度回収し、もう一度製品づくりに生かしていく。そのサプライチェーンをつくる一助になるようなインフラを目指していきたい。
使わないから捨てるのではなく、その価値を次に託すことで暮らしの中に循環が生まれます。
誰かのため、社会のためになる選択を自然とできる取り組みとして、さらに広がっていくことが期待されます。