国が史跡に指定した由緒正しき寺で異変が。
もともとは池だった場所が、水は干上がり、今では草が生い茂る事態となっているのです。

長楽寺・高橋亮秀住職:
3カ月間放置。市の職員や担当課が何もしないのが一番の問題じゃないか。

池の整備を巡り、寺と市の意見が対立する事態となっていました。

現場は群馬・太田市にある長楽寺。
徳川家の先祖がここで初めて徳川姓を名乗ったことから、徳川氏発祥の地としても知られています。

寺の境内は、25年前、国の史跡に指定されました。
その史跡を構成する1つが、渡月橋がかかる蓮池です。

しかし、今では水面に景色を反射していた池がカラカラに。草も伸び放題の状態となっていました。

長楽寺・高橋亮秀住職:
これ池!草だらけになっちゃってるでしょ?「え~これ池!?」って言われる。5月くらいまではずっと水があった。

許可を得て干上がった池に降りてみると、目の前がジャングルと化していて、先にも進めないぐらい、かなり草木が伸び切っていました。

住職によると、東日本大震災で池を囲う石垣が崩落。
大量の水が漏れ、地下水をくみ上げるポンプも詰まり、2025年6月、池が干上がってしまったのだといいます。

この漏水を巡り太田市は、文化財保護法に基づき、池を所有する寺が対策を実施すべきとの立場を示しました。

2025年の猛暑でジャングルと化した状態に、観光客を案内するガイドは「国の史跡なのに来た方もがっかりするだろうし、案内するほうも非常に心苦しい。今月25日にガイドの依頼が入っている。ここを見てもらう?どうしましょ」と話しました。

住職は、寺の境内を公園として管理する太田市に草木の伐採を依頼したといいます。
ところが、住職が激怒する事態に。

長楽寺・高橋亮秀住職:
7月の半ばごろに話して「分かりました」と言って帰った。そこから3カ月音沙汰なし。それはやっぱりおかしいと思う。

3カ月間何をしていたのか、太田市が取材に応じました。

太田市役所 花と緑の課・高山喜良課長:
史跡エリアの中で文化財保護法の制約等々あるので時間を要した。事前に経過報告、住職に伝えられず非常に申し訳ない。

陳謝したうえで、草刈りを早期に行うと明言。

太田市役所 花と緑の課・高山喜良課長:
樹木の管理、雑草の管理は市がやるべきと考えている。住職との話し合いの中で早めに進められたら。

この対応について改めて住職に聞くと…。

長楽寺・高橋亮秀住職:
3カ月も草刈り検討するんですか、信じられないですよ。今回これで、報道を通じて草を刈ってくれるのであれば、ありがたい。

一方で、水漏れの原因となっている史跡の修復について、太田市は改めて“所有者が行うべき”との立場を崩さず。
修復費用を出すかどうかは明言を避けました。

長楽寺・高橋亮秀住職:
あくまで(太田市)尾島町の公園として使用する代わりに、公園の整備の一環としてお金を使うわけですよね。誰が考えたって分かること。それが分からないのは理解できない。

池に水は戻るのか。
寺と市の意見の食い違いが文化財の保全に大きな影響を及ぼしていました。