「FNSチャリティキャンペーン」で酒主義久アナウンサーが訪れたのは、アフリカ大陸の南東部に位置する島国・マダガスカル。
世界で最も貧しい国といわれ、国民のおよそ8割が貧困層。清潔な水を使えるのは国民のほぼ半分です。
マダガスカルでは40%以上の子どもが栄養不良。理由の一つは下痢などの病気で、不衛生な水が影響しています。

この記事の画像(40枚)

フジテレビは10年前にも現地を訪れ、貧困や水不足にあえぐ現状を取材していました。
その時に出会った親子。母・クララさんと息子のモデステくん。
シングルマザーで家族を支える生活や、水の問題について赤裸々に語っていました。

私たちはクララさんがいるという村へ向かいました。

酒主アナ:
10年たって改善されていたらいいですよね。いや…改善されていたらいいよねじゃなくて、改善されていなきゃだめだよね。

生きていくために…村で教師に

村人が教えてくれた学校へ向かうと、笑顔で出迎えてくれたのは白衣を着た女性。

クララさん(31)です。10年たって小学校の先生になっていました。

授業をするクララさん
授業をするクララさん

酒主アナ:
クララ先生はどんな先生ですか?

生徒:
優しい先生だよ。

優しい先生だというクララさん。授業中、なぜかその後ろをずっとついてまわる小さな女の子が。片時も離れません。

この子はプレンシアちゃん(3)。10年たってクララさんには新しい子どもができていました。

酒主アナ:
プレンシアちゃんはここにいるけど、モデステくんはどこにいるんですか?

クララさん:
一緒には住んでいないの。
寂しいけど仕方がありません。

クララさんがこの村で先生になったのは約10年前。その目的は生きていくためのお金。マダガスカルでは公務員の教師になれるかどうかで給料が約2倍違います。クララさんはまだ無資格の教師。そこから公務員になるために必要なのが決められた学校で積む経験と実績です。そのため、村から離れたこの学校で平日は息子と離ればなれの生活を余儀なくされています。

授業が終わり、向かったのは近くにある自宅。お昼ご飯の時間。プレンシアちゃんだけが白いご飯をパクパク食べています。

クララさん:
プレンシアは朝・昼・夜とご飯を食べるけど、私は夜だけしか食べないの。

クララさんの年収は国の平均年収の約半分の130万アリアリ。日本円で4万5千円ほど。これで子ども2人以外に両親や親戚なども養っています。ご飯を買うお金がない今は、子どもを食べさせるためにクララさんは1日1食で我慢しています。
すると取材中、突然泣き出すプレンシアちゃん。

クララさん:
クッキーが食べたくて泣いているの。でも買ってあげられない。お金がないから。

本当は買ってあげたい娘のおやつ…。でも買うことができません。

汚いと分かっていても飲まざるを得ない水

そして向かうのは水くみです。

10年前もクララさんは水をくみに行っていました。そのときは1時間以上の道のり。雨が降らず水は不足していました。

今は歩いて10分ほどの近くの池にくみに行きます。
サイクロンの影響もあり、水不足だった10年前より豊富にある水。バケツいっぱいにくみます。

飲み水としても使うという池の水。決してきれいには見えません。

周りには家畜の姿もあります。

クララさん:
10年前よりは水があります。でも牛も飲んだり、ふんをしたりするからきれいな水ではないの。でもこれが飲み水なの。

サイクロンの影響で水は増えているものの、汚いとわかっていても飲まざるを得ない状況。

酒主アナ:
この水を飲むのは気にならないですか?

クララさん:
大丈夫ではないけど、仕方がないのよ。

酒主アナ
プレンシアちゃんに飲ませるのは不安ですか?

クララさん:
不安だけど仕方がない。

我が子に不衛生な水を飲ませざるを得ない苦しい境遇は変わっていませんでした。

思いあふれる親子の再会

取材2日目。きょうは週末しか会うことができない息子のモデステくんがいる村へ向かいます。

戸締まりをして、プレンシアちゃんをおぶって準備完了。

クララさんを見送る生徒たち
クララさんを見送る生徒たち

生徒たちに見送られ村をあとにします。

足元はビーチサンダル。3歳のプレンシアちゃんを背負いながら、村までの数十kmをひたすら歩きます。

歩く道では砂にはまってしまう車も。簡単には進めない道のりです。

一方そのころ、母の帰りを待つ息子がいる村では…1人ぽつんとさみしそうにしている男の子。クララさんの息子・モデステくん(13)です。
10年前はクララさんにおんぶされていましたが、今は近くに住む親戚などを頼りにしながら1人離ればなれの生活。

モデステくん:
とっても寂しいけど、どうしようもないよ。お母さんは仕事があるから。

寂しい生活も「仕方がない」と話すモデステくん。母への思いがあふれます。

お互いを思う気持ちが交錯する道のり。

母の元へ駆け寄るモデステくん
母の元へ駆け寄るモデステくん

姿を見つけたモデステくんは母の元へ走り出します。

思わず涙がこぼれるモデステくん。

クララさん:
とてもとてもうれしいです。

やっとお母さんに会えて照れくさいのか、プレンシアちゃんを抱きすたすたと歩くモデステくん。
いつも1人の自宅に家族みんなで帰ります。

家族全員で過ごす時間。モデステくんにも笑顔が戻りました。

家族団らんの“最後の日”

取材3日目。土曜日のきょうは家族3人で団らんできる“最後の日”。

まずはみんなで芋の皮をむいて、屋根の上に干して食材の準備をします。次は母と息子2人で水くみ。

クララさん:
6kmあるけど、10年前よりはよくなったのよ。

この村でも水はより近くの場所で手に入るようになりました。

酒主アナ:
こういう何げない日常も幸せなんだろうな。モデステくんにとっては貴重な時間なんでしょうね。

3人で過ごすかけがえのない時間。しかし、それもあっという間に終わってしまいます。

一緒に暮らす未来のため…別れ

取材最終日。きょうでまたお別れです。

戻る準備をする2人を前に、モデステくんは寂しさを隠しきれません。

2人に今までの生活を振り返ってもらうことに。

10年前の取材の時の写真を見て、2人で住んでいた時を思い出し、笑顔があふれる親子。

すると突然…モデステくんの感情があふれ出します。

クララさん:
私と離れて寂しくなるからだと思うわ。私もとても寂しくなりました。

もちろん家族一緒に暮らしたい。けれど…。

クララさん:
一緒に暮らすにはどうしたらいいですか?仕方がないでしょう。

ーー10年間で変わったことは?
クララさん:

水があるのでそれはよくなりました。でもお金はありません。変わったのは少しだけよ。

時刻は午前11時。村を離れる時間が来ました。

クララさん:
バイバイモデステ~

10年で変わったのは少しだけ。
それでも一緒に暮らす未来のため、きょうもここで別れていきます。

「FNSチャリティキャンペーン」ではマダガスカルの子どもたちのために皆さまからの募金をお願いしています。募金は、銀行振り込みのほか、クレジットカードなどもご利用いただけます。詳しい募金の方法については、FNSチャリティキャンペーンHPをご覧ください。

皆様からの募金は、ユニセフ、国連児童基金を通じマダガスカルの子どもたちを支援するために活用されます。皆様からのご協力とご支援を心よりお待ちしております。

【FNSチャリティー キャンペーンHP】
https://www.fujitv.co.jp/charity/guide.html

(「サン!シャイン」10月16日放送より)