連日クマの出没や被害が相次ぐ中、知っておきたいのはもしもの時に「命を守る方法」。飯豊町でクマに襲われた女性の行動から、いざという時に私たちがとるべき対応を考える。

(クマに襲われた女性)
「一瞬だった。怖かった。やられるかと思った」

13日午前、飯豊町椿にある住宅の敷地内で、83歳の女性が後ろからクマに襲われ背中や右腕を引っかかれ軽いけがをしたが、命に別条はなかった。

急に襲いかかってきたクマに対し、女性は“ある姿勢”をとっていた。

(クマに襲われた女性)
「『あっ!』と思って頭だけ隠した。でも背中に爪の跡がある。腕は引っかかれた」

とっさに頭を守り、しゃがみこんだというこの対応。
これがまさに「クマから命を守る姿勢」だったのだ。

秋田大学大学院の研究グループは、2023年、秋田県内でクマに襲われた70人の傷の箇所やけがの程度などを分析した。

それによると、体の複数の部分が損傷を受ける多発外傷や、指や手足の切断・全身麻酔での手術が必要だった重症の患者は23人。
そして傷の箇所をみると共通点があったという。

(秋田大学大学院医学系研究科整形外科整形外科講座・石垣佑樹医師)
「頭頚部(頭・顔・首)、上肢の受傷が多かった。クマがえさを探したり威嚇したりするときに立った状態になる。クマが腕を振り下ろした時に、ちょうど人間の頭や首の辺りに攻撃が来るのではと考えている」

一方で、重症を免れた人のうち7人に共通していたのが…。

(秋田大学大学院医学系研究科整形外科整形外科講座・石垣佑樹医師)
「“防御姿勢”をとった人が全員、重症を免れていたという状況だった」

この防御姿勢とは、首の後ろで両手を組んでうつぶせになったり体を丸めたりするポーズ。
クマの攻撃から頭や首・顔と腹部を守るこの姿勢が、研究により重症を防ぐために一定の効果があることがわかったという。

(秋田大学大学院医学系研究科整形外科整形外科講座・石垣佑樹医師)
「今まで実際にうつぶせによる防御姿勢を細かく研究したものはなかった。そこに信頼性をつけられたと思う。一番大事なことは、クマがいる所に行かないこと。今回の研究を広く知ってもらい、とっさの時・いざという時に、一番自分の身を守る確率がある姿勢をとってほしい」

飯豊町でクマに襲われた女性の傷は痛々しいが、逆に言えば、よくあのけがで済んだとも言える。
それも、女性がとっさに“防御の姿勢”をとったということで、普通は身がすくんでできない。

連日市街地にクマが出没しているので、会ってしまった時に“防御の姿勢”をとることが大事と知っているだけでも、安心材料になるだろう。

さくらんぼテレビ
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