184日間の会期を終えきのう閉幕した大阪・関西万博。

多くの人が訪れた夢洲は、IR=カジノを含む統合リゾート施設の建設が進むとともに、万博会場ではパビリオンが全て解体され、先端医療の施設、サーキットといった国際的なモータースポーツ拠点、ホテルの建設などが開発の候補に挙がっています。

しかし現在、交通アクセスが大阪メトロのみに限定されていることから、ほかのアクセス手段も必要とされていますが、巨額の費用が必要となる見込みです。

今後の見通しを、4年間にわたり万博を取材してきた沖田記者が解説します。

■万博会場は「来年4月13日までに更地に」

【万博を4年間にわたって取材 沖田菜緒記者】
博覧会協会は、各国に対してパビリオンの解体工事を来週、月曜日から始め、来年の4月13日までに更地にして引き渡すよう求めています。

大屋根リングなどがあったエリアについては、大阪府と大阪市が、今年度の後半から開発事業者を募集します。

まだ案の段階ですが、先端医療の施設、サーキットといった国際的なモータースポーツ拠点、ラグジュアリーなホテル、世界クラスのウォーターパークの建設などが候補にあがっています。

■カジノを含む統合型リゾート・IR 国際会議場やホテル・シアターも

夢洲にはカジノを含む統合型リゾート・IRが建設されます。

【万博を4年間にわたって取材 沖田菜緒記者】
IRの建設予定地では、万博の会期中も、建設工事が進められていて2030年の秋ごろに開業予定です。

カジノは総面積のおよそ3パーセントで、他にも国際会議場や、3つのホテル、巨大なシアターなどのエンターテインメントに富む街が作られることになります。

■再開発の課題は「交通アクセス」

再開発にあたっての課題はどのようなものでしょうか。

【万博を4年間にわたって取材 沖田菜緒記者】
最大の課題は、夢洲への交通アクセスの充実だと思います。

現状、この夢洲までアクセスできる鉄道は、大阪メトロだけです。

ことし8月には、その大阪メトロが運転見合わせとなって夢洲が孤立しました。

少なくとももう一つ鉄道路線がないとこうした孤立を防ぐことはできません。

■「京阪とJRの延伸」には『3500億円』かかるという試算も

大阪府・市などで構成される検討会では、新たな鉄道のアクセスとして、既存路線の京阪中之島線とJR桜島線を延伸させて夢洲まで繋ぐルートが費用対効果が高いという調査結果をまとめています。

しかし試算では、3500億円かかるということで、JR西日本は「公的資金による財源確保は必須」としていて、新たな鉄道を敷くにしても、費用面がネックとなります。

今回の万博がきっかけで海外からも大阪の街が注目されている今、万博の盛り上がりを一過性のものにしないことも求められそうです。

■USJとの“無人バス”・富裕層向けにヘリポートなどでアクセス改善も 専門家指摘

夢洲の再開発とその課題について、番組コメンテーターで経済学者の政策研究大学院大学・安田洋祐教授は次のように話しました。

【安田教授】「今ある鉄道の延伸だと3500億円という数字が出ていましたけれども、近くにあるUSJは、IR施設などが開発され再利用される夢洲と並ぶ巨大なテーマパークなので、その2カ所を定期的につなぐ(交通機関)、鉄道じゃなくても場合によっては道路で無人のバスなどを定期的に運行させる形でもいいかもしれません。それだけでもだいぶ変わると思います。

また交通アクセスに関して言うと、カジノは富裕層の利用が期待されますが、例えば“関空や神戸空港からプライベートジェットで日本に来てヘリコプターですぐに移動”というようなことが、夢洲にヘリポートがあればできますよね。

大阪の市内中心部からもヘリでの移動だったら5分~10分で来ることができます。万人に向けたインフラではないですけれども、ピンポイントの富裕層向けのインフラ等も整えると変わってくると思います」

■専門家「“カジノ一辺倒”ではないっていう気運醸成が重要では」

(Q.IR構想について反対する方もいますが、どうお考えですか?)
【安田教授】「敷地面積が3パーセントぐらいしかないカジノが非常に注目を集めてるわけですけれども、(計画では)他にもエンタメ施設であったりとか、国際的にも使える会議施設などもあって。

そういったものが姿が見えてくると、万博のときと同じで具体像が見えるとだいぶ世論は変わってくると思うんですよね。“カジノ一辺倒”ではないという気運醸成みたいなものが重要じゃないかと思います」

(関西テレビ「newsランナー」2025年10月14日)

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