大分県豊後高田市が、自治体の公用車やタクシーで高校生の通学を支援する取り組みを9月から試験的に始めた。

その背景には生徒や学校側のさまざま事情が。生徒の声などを取材した。

生徒の送迎に使用している公用車
生徒の送迎に使用している公用車
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自宅から高校まで6キロ以上、さらに自宅から最寄りのバス停まで3キロ以上の生徒を対象

豊後高田市は市内唯一の高校である高田高校の生徒の通学を支援しようと、9月から新たな取り組みを始めた。

対象は、市内に住む生徒で自宅から高田高校まで6キロ以上離れていて、さらに自宅から最寄りのバス停まで3キロ以上あるという2つの条件を満たす必要がある。

現在、この条件にあう田染地区に住む2人の生徒がこの取り組みを利用している。

豊後高田市田染地区と高田高校の距離
豊後高田市田染地区と高田高校の距離

通学支援により家庭の負担も減少

2人は自宅近くの集合場所から直線距離でおよそ9キロ離れた高校まで登校時は公用車、下校時はタクシーに乗って通学している。

これまで2人は親に送り迎えをしてもらっていたが、この取り組みが始まってから学校にいられる時間も長くなり、家庭の負担も減ったと話す。

市は少なくとも1年程度続ける方針で2026年3月までの予算は約47万円を見込んでいる。

公用車を利用して通学する生徒
公用車を利用して通学する生徒

受験生「今までよりも学校に長くいられ、先生の指導も長く受けられる」

この取り組みを利用する2人の生徒は次のように話している。

ーーー男子生徒(2年)
「今までは親に送ってもらって(学校に)来ていた。自分もこっちのほうが親にも迷惑をかけないのでこれがあったらいい」

ーーー女子生徒(3年)
「バスがあったが時間帯が登校時間とずれていたので利用できなかった。今までよりも学校に長くいられるので友達と話したり、受験生なので先生の指導とかも長く受けられるのでそれは良かった」

市もこの取り組みに手ごたえを感じているようだ。

豊後高田市の地域活力創造課御幡慶一さんは「これから先、もう少し勉強したいであったり部活をしたい、 その他要望に合わせて運行時間を遅くしたり早めたりとか、これからも関係者や利用者の声を聞きながら拡充していきたい」と述べた。

公用車を利用して通学する生徒
公用車を利用して通学する生徒

少子化が進む中、地元で生徒をいかに確保するのかが課題に

県教委によると、高田高校の生徒数は年々減少していて2025年度はこの10年で最も少ない355人。

少子化が進む中で貴重な教育機関を維持するためには、地元で生徒をいかに確保するのかが重要である。こうしたことを背景に市は対策の一つとして今回の取り組みを始めた。

高田高校生徒数
高田高校生徒数

利用状況などを踏まえて制度の継続を検討

豊後高田市の御幡慶一さんは「今後の見解としては維持、存続と利用者に合わせてさらなるブラッシュアップ、 動きやすい環境整備がいろいろな方と協力してできれば」と利用状況などを踏まえて、制度を継続するのか考えたいとしている。

少子化が進む中、地域でいかに子どもたちを育てていくのか。

自治体によるこうした柔軟な取り組みが求められることになりそうだ。

高田高校
高田高校
テレビ大分
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