福井県内の最低賃金が初めて1000円を突破し、8日から過去最高となる1053円に引き上げられます。アルバイトなど働く側にとってはうれしいことですが、企業には人件費の負担が重くのしかかります。現状を取材しました。
       
福井市内の居酒屋を訪ねると、昼からアルバイトの従業員が夜の営業に向けて仕込み作業を行っていました。
  
この居酒屋を経営するぼんたグループは市内に16店舗を構え、200人以上のアルバイトを雇用しています。
  
最低賃金引き上げの影響について齋藤敏幸社長は「最低賃金が上がるたびに、会社では社員とアルバイトで年間2000万円人件費が増えている」と苦悩を語ります。
  
この会社では既に最低賃金を上回る時給でアルバイトの募集をかけていますが、更に高い給料を提示しないと人は集まらないと言います。

増える人件費への対応については「一つのことでは解決できないのであらゆることをやっている。一番の優先はDXをして省人化すること」(齋藤社長)
  
賃上げの影響が特に大きいと見られているのがアルバイトを多く抱える飲食業ですが、ほかの業種にも影響が出ています。
   
福井商工会議所の調査によりますと、最低賃金引き上げが「業績に影響する」と答えた企業は49.9%で約半数にのぼります。
 
県中小企業家同友会の代表理事を務める山内喜代美さんは、中小企業特有の影響があると言います。「中小企業は人件費の割合が非常に高いので最低賃金が上がる、給料が上がることが、会社に与える影響が大企業よりはるかに大きい」
  
県内で特に多い製造業は価格転嫁にも課題があります。「最低賃金が上がって給料体制を見直しても価格転嫁がすぐに追いつく訳ではない。早くても半年先くらい。その間は企業の持ち出しになる」(山内さん)
  
政府は2020年代に最低賃金の全国平均を1500円まで引き上げることを掲げています。
  
ぼんたグループの齋藤社長は、これからも続く賃上げの影響を厳しい表情で語ります。「間違いなく淘汰される。5年後には(店は)2~3割は確実に減っている」
  
県内の中小企業は生き残るための難しい舵取りを迫られています。

福井テレビ
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