自治体の公用車やタクシーで高校生の通学を支援する取り組みを大分県豊後高田市が試験的に始めています。背景には生徒や学校側のさまざま事情がありました。現場を取材しました。
豊後高田市は市内唯一の高校である高田高校の生徒の通学を支援しようと、9月から新たな取り組みを始めました。
対象は、市内に住む生徒で自宅から高田高校まで6キロ以上離れていて、さらに自宅から最寄りのバス停まで3キロ以上あるという2つの条件を満たす必要があります。
現在、この条件にあう田染地区に住む2人の生徒がこの取り組みを利用しています。
2人は自宅近くの集合場所から直線距離でおよそ9キロ離れた高校まで登校時は公用車、下校時はタクシーに乗って通学しています。
これまで2人は親に送り迎えをしてもらっていましたが、この取り組みが始まってから学校にいられる時間も長くなり、家庭の負担も減ったと話します。
市は少なくとも1年程度続ける方針で2026年3月までの予算はおよそ47万円を見込んでいます。
◆男子生徒(2年)
「今までは親に送ってもらって(学校に)来ていた。自分もこっちのほうが親にも迷惑をかけないのでこれがあったらいい」
◆女子生徒(3年)
「バスがあったが時間帯が登校時間とずれていたので利用できなかった。今までよりも学校に長くいられるので友達と話したり、受験生なので先生の指導とかも長く受けられるのでそれは良かった」
市もこの取り組みに手ごたえを感じているようです。
◆豊後高田市 地域活力創造課御幡慶一さん
「これから先、もう少し勉強したいであったり部活をしたい、 その他要望に合わせて運行時間を遅くしたり早めたりとか、これからも関係者や利用者の声を聞きながら拡充していきたい」
県教委によりますと、高田高校の生徒数は年々減少していて2025年度はこの10年で最も少ない355人です。
少子化が進む中で貴重な教育機関を維持するためには、地元で生徒をいかに確保するのかが重要です。こうしたことを背景に市は対策の一つとして今回の取り組みを始めました。
利用状況などを踏まえて制度を継続するのか考えたいとしています。
◆豊後高田市 地域活力創造課御幡慶一さん
「今後の見解としては維持、存続と利用者に合わせてさらなるブラッシュアップ、 動きやすい環境整備がいろいろな方と協力してできれば」
少子化が進む中、地域でいかに子どもたちを育てていくのか。
自治体によるこうした柔軟な取り組みが求められることになりそうです。