秋田県の湯沢駅前商店街ににぎわいを取り戻そうと、買い物客を巻き込んだ取り組みを始めた唐揚げ店の店主がいます。

湯沢駅前商店街に店を構える唐揚げ専門店・此処唐堂。パックや弁当で、揚げたてのから揚げを販売しています。

店を営むのは、大仙市出身の伊藤広和さんです。伊藤さんは、横手市のシステム開発の会社勤務などを経て、フリーランスでウェブ制作の仕事を始めました。独立して8年後の2017年に知人の紹介で湯沢市に移住しました。

伊藤広和さん(46):
「シャッターが閉まっているところが多く、何か自分でできることがないかと思った。店があるかないかで全く雰囲気が変わると思い、シャッターをこじ開けるように自分を奮い立たせた」

店の名前は、「ここから商店街が変わるきっかけを作りたい」という思いから付けました。

商店街を活性化したいという強い思いから店を始めた伊藤さん。ウェブ制作の仕事は引き続き行っていますが、飲食業は初めての経験です。

伊藤広和さん:
「唐揚げ専門店がはやってきている時だったが、県南地区にはない状態だったので、ここから始めようという、唐揚げ専門店を自分で出す決意をした」

店の一番人気は「こっ唐」。にんにくを使っておらずジューシーで、幅広い世代に大人気の商品です。

「ざわ唐」は、酒類醸造の盛んな湯沢の魅力を詰め込んだ、伊藤さんこだわりの一品です。酒かすに漬け込んでいるためとても柔らかく、しょうゆの味もしっかりと感じられます。

年末年始も休まず営業を続けた伊藤さん。そんな姿に、商店街を訪れた人から応援の声をかけられるようになりました。この商店街の温かさを全国にアピールしたい。伊藤さんは、2023年からある取り組みを始めました。

伊藤広和さん:
「みんなの声を書いてもらい、みんなに発信できる、みんなが興味を持つものを考えた。応援メッセージでアートを作りたい。それを商店街のシンボルとして、全国からも人が見に来てくれるものにしたい」

店頭などに用意した6センチ四方のメッセージカード。買い物客などに湯沢市や商店街への応援メッセージを書いてもらい、カードを並べてアート作品を作ろうという取り組みです。

カードの目標は3000枚。約2年半で1000枚近い応援メッセージが集まっていて、メッセージを書くために遠方から訪れた人もいたそうです。

伊藤さんは、湯沢駅近くに2026年完成予定の複合施設のオープンに合わせ、メッセージアートのお披露目を目指しています。

伊藤広和さん:
「まず店に明かりを灯し続けて、厳しい状況は続くが諦めず、そこに行けば唐揚げ店があるという信頼と安心感を作れるように続けていきたい」

商店街を活気づけようと奮闘する伊藤さんの歩みはこれからも続きます。

秋田テレビ
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