水俣病をめぐり国が来年度から実施する不知火海沿岸の住民への健康調査について環境省は、11月をめどに天草地域で先行調査を始めると発表しました。

国の調査手法を批判する被害者団体は「水俣病の全容解明につながらない」としてあらためて白紙撤回を求めました。

これは、1日、水俣市で行われた水俣病被害者団体との実務者協議の中で、環境省の担当者が明らかにしたものです。

国は来年度、脳磁計とMRIを使った検査手法による不知火海沿岸の住民への健康調査を行う方針を示しています。

1日の協議の場で、環境省は、今年度実施する先行調査の概要を説明しました。

それによりますと、無作為に抽出した天草市と上天草市の住民800人に10月上旬、協力依頼の文書を発送し、11月をめどに先着40人に検査を実施。1泊2日の日程で、熊本大学病院と水俣市立総合医療センターで検査を行うということです。

対象者の移動手段や負担、検査の流れなどに課題がないか確認し、来年度の本格調査につなげるとしています。

一方、被害者団体側は環境省の説明に反発。「国の検査手法は時間がかかりすぎ、被害の全容解明にもつながらない」として調査の白紙撤回を求めました。

これに対し、環境省は来年度の本格調査に向けスケジュール通り進める姿勢を崩さず、議論は平行線に終わりました。

【環境省特殊疾病対策室 森 桂 室長】
「今年度の調査でどこが工夫できるのか、負担が減らせないか、といったところを検証していきたいと思っている。結果を次に生かせる形で進めていきたい」

【水俣病被害者・支援者連絡会 山下 善寛 代表】
「被害の実態が分からない中で、いろいろ対策を打っても問題だと思う。まず被害の実態調査があって、そこから対策を考えないといけないのに」「〈白紙撤回しろ〉という要求を続けたいと思う」

テレビ熊本
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