鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。
野川さんお願いします。
【野川キャスター】
きょうは広島へとある列車が初乗り入れしたということで取材してまいりました。
それでは…時をさかのぼること、2週間…先月14日のお話です。
【野川キャスター】
「きょうはですね、JR広島駅の2番乗り場にやってきております。
こちらのホームに、もう間もなくですね、普段広島にやってこない列車が入ってくると言うことで、もう向かいの一番乗り場のあたり、たくさんの方がカメラやスマホを構えて待っていらっしゃるんですね。お!来ましたー。
色鮮やかな濃紺とそしてこの濃い緑。
やってまいりましたー。
ちょうどこの辺りか?お!お!お!もうちょっと、もうちょっとそちらに行くのね?到着しました。
まず普段、広島駅ではお目にかかれない列車です。『かわせみやませみ』でございます」
『かわせみやませみ』は2017年春、JR熊本駅とJR人吉駅とを結ぶ観光列車としてデビュー。しかし、2020年の豪雨で運行路線が被災し、現在は臨時列車として運用しています。
ベースの車両は芸備線でもよく見かける国鉄時代の気動車、キハ47なんですが、
車両は熊本最大の河川、球磨川と森をイメージした青と緑に塗装されるなど大改装が施され、
生まれ変わりました。
ちなみに名前は球磨川流域に生息する、色鮮やかな野鳥に由来します。
【野川キャスター】
「5年くらい前でしたかね?博多駅と門司港駅の間を走ったという期間がありました。
私、その時に往復乗ったことがございます。
この列車がJR広島駅の接近メロディーにのって入ってきたところから、なんかちょっと異次元に異世界に迷い込んだ感じがしました。
顔を見ますと、まごうことなきキハ40ファミリーと言いますか、国鉄時代の気動車の顔をしているわけですけれども、やっぱり塗り替えられて、やませみ側ですが、ロゴマークもついていますけども、こうなるとちょっと印象が変わりますよね。
やっぱり乗ることそのものを楽しみにしたい列車、車両ですね。
サイドも見に行きましょうかね。
これいいですね、『かわせみやませみ』とロゴが並んでいますけれども、漢字で書いてあるところもいいですよね。
JR九州はD&S列車。
デザイン アンド ストーリー列車なんですけれども、九州各地をこだわりの列車が走ることで、その土地のストーリーであったりとか。あるいはそこを走る列車のデザインだったり、そういったところから物語を感じてほしい。
そんなコンセプトでD&S列車というのを何両か持っているわけなんですが、そのファミリーの一つですね」
それではお待たせしました。
『かわせみやませみ』の中へ参りましょう。
車内は人吉・球磨地域で育った木材がふんだんに使用され、自然のぬくもりが感じられます。
ということは、いわずもがな日本の工業デザイナー、水戸岡鋭治さんが手がけた車両です。
JR九州の服部さんに案内してもらいます。
【JR九州営業部 服部正典さん・野川キャスター】
「まず、最初ひとこと言わせてください。美しい!」
「ありがとうございます」
「美しいです。もうどこに目をやるべきか、わからないくらいです」
「『かわせみやませみ』が走行していた肥薩線沿線ですね、球磨川流域というところの自然をイメージとした列車となっていますので、野鳥であったりとか、自然であったり車内で感じてもらいたいなと思っています」
「本当に何か香りもですね、いいウッディーな香りがしてくるんですよね。
カワセミとヤマセミという鳥も球磨川流域に生息しているんですか?」
「そちらのバッチにあるカワセミヤマセミは、球磨川流域を生息地としておりますので」「気づいていただいてありがとうございます」
「もちろんでございます」
「この時とばかりに、着けて参りました。実際にこれ、九州から広島まで昨日走ってきたんですかね?」
「きのう走ってきました。約10時間位ですかね」
「ただ今回広島にということで」
「来年の4月から9月に行われます、熊本県のデスティネーションキャンペーン。それに向けてですね、本州方面、広島、大阪、京都の方々に、この『かわせみやませみ』を通じてですね、熊本県をPRしたいなと思って」
『かわせみやませみ』は2両編成で座席も限られているんですが、通常のリクライニングシートを中心に、カウンター席やテーブル席、ソファ席などバリエーション豊かな座席が設置されているんですよね。
そして、かつては車内でこんな楽しみ方も…
【JR九州営業部 服部正典さん・野川キャスター】
「肥薩線を走っていた頃はここからバードウォッチングができることで、川を見ながら、野鳥を見ながらということで、この様な丸い窓をつけています」
「素敵ですね、バードウォッチングウィンドウ。ここからまたバードウォッチングできる日が戻って来ることを願いたいなということを、いち鉄道ファンとしては思っています」
「そうですね。こちらが2号車、『やませみ』ですね。
ショーケースが大きくありまして、人吉・球磨地方の名産品・特産品だったりとか、一部、球磨焼酎を飾らせてもらっています」
「ですから、列車に乗りながら地元の名産品や文化にも触れることができると」
「そうです。はい」
2号車にはビュッフェもありまして、『やませみ』運転台の後ろ!ソファー席には…
【JR九州営業部 服部正典さん・野川キャスター】
「ステンドグラスですよ。ステンドグラス。これが四季折々の景色の色であったりとか、そういったところに反射をしてね」
「そうですね、『かわせみやませみ』は窓が比較的大きくとられていて、こういった額縁の様なデザインが入っていますので。
本当に自然を額縁の中に収めるっていうのが、景色を楽しめるような列車ですね」
「本当に素敵なコンセプトですね」
「ありがとうございます」
「今ね、この窓越しにレッドウィングが走って行きましたけど、すごく不思議な感じがします」
「不思議ですよね。私もきのう一日、列車に乗っていて。九州外を走っている違和感と、なんか変な感じがずっとしています」
わずか50分という短いお披露目でしたが、ファンの方々と一緒に珍しい車両を堪能し、ついにお別れの時間がやってきました。
<かわせみやませみ汽笛>
【野川キャスター】
「さあ、出発ですね。これから、京都鉄道博物館に行って展示をされるということですから、また長旅ですね。行ってらっしゃい。広島に来てくれてありがとう」
<スタジオ>
【コメンテーター:広島大学法学部長・吉中信人教授】
普通列車でこのクオリティなんですね。
【野川キャスター】
そうなんです。このクオリティ、あの内装でグリーン車ではなくて、普通車なんです。なので乗車券に普通の特急指定席料金を払えば乗れるということなんですね。
広島で乗ることは難しいのですが、現在は熊本駅から阿蘇駅、あのあたりを行ったり来たりしているということです。