人手不足が深刻なバス業界では、道路交通法の改正で10代でもバスの運転に必要な大型2種免許が取れるようになりました。

富山県内でも少しずつ10代の運転手が登場。活躍し始めています。

富山地方鉄道の路線バスの運転手の最年少、19歳の碓井磨海さんです。

碓井さんは去年4月に入社、事務職の業務を経験しながら、先月、バス運転に必要な大型二種免許を取得しました。

*運転手候補 碓井磨海さん
「学生の頃は路線バスを使っていた。運転手の運転がうまかったので、それに憧れていた」

いま、碓井さんは運転手候補として、実際に公道でバスを運転するための研修を受けています

*運転手候補 碓井磨海さん
「結構まだ怖い。緊張感は8割、7割ぐらいある」

Q.残る3割はどんな気持ち?
*運転手候補 碓井磨海さん
「楽しい。ずっと運転してみたかったバスなので。結構大きくて、タイヤも離れている。曲がる時に内輪差がある。それを考えながら運転することが楽しい」

道交法の改正前、バスの運転に必要な大型2種免許は21歳以上で、免許取得から3年以上経過が条件でしたが、特例講習を条件に、普通免許取得から1年での取得が可能になりました。

碓井さんの大型2種取得は会社が全額負担しました。

*指導者 西尾正和さん
「アクセルを1回離してみて。ほら、こういう運転にならないように、ゆっくり力を入れながら離す。こういうアクセルの使い方を覚えて」

*指導者 西尾正和さん
「非常に丁寧。アクセル踏むときも、ブレーキ踏むときも、非常にいいと思う」

富山地方鉄道バスは来月、富山市の笹津から猪谷までの路線や、富山駅と城端を結ぶ路線など18路線を廃止します。

理由は深刻な運転手不足です。

*運転手候補 碓井磨海さん
「加速ができなかった。周りの車からは遅いなと思われてたと思う」

碓井さんは仕事の難しさを感じながら、やりがいも感じていると言います。

*運転手候補 碓井磨海さん
「教習を受けるたびに、何か1つできることを増やしたい。成長できればいいなと思う」

運転手不足について、県バス協会が会員を対象に行ったアンケートでは必要な人数のおよそ20%、134人が不足していると回答しています。

富山地方鉄道も中途採用者に30万円の入社支度金を準備したり、仕事の体験会を開いたりと、人材集めに力を入れています。

そして、運転手不足は路線バスだけではありません。

*中部観光 佐々木弘社長
「今は我々の業界は乗務員不足で非常に困っている。19歳、高校卒でも(バス運転手の仕事が)できることを広めてもらえると助かる」

貸切バスや旅行代行業が主力の中部観光です。

この会社で最年少の運転手、日比野匠さん。現在20歳の日比野さんは19才で大型二種免許を取得、すでにスクールバスの運転を任されています。

午前6時前、出社してすぐバスの点検です。

*新人運転手 日比野匠さん
「朝来たら、1周りしてタイヤの点検とエンジンルームの確認をいつもしている」

その他、オイルや電装品など確認した箇所は一つ一つ丁寧に記録します。

Q.やはり車好きですか?
*新人運転手 日比野匠さん
「好き。親も好きなので、その影響が大きい。自分の名前を好きなアニメの主人公からを取っているほど。恥ずかしい」

日比野さんは18歳でマニュアルの普通免許を取得。運転手の仕事を探して、今の会社を見つけました。

中部観光の乗務員の平均年齢はおよそ57歳。若い日比野さんの入社で社内の雰囲気も変わりました。

*中部観光 運転手(60代)
「人懐っこい子で、しようようがないなという感じ」

*中部観光 運転手(40代)
「若いドライバーが1人でも増えると会社も活気が溢れる」

*新人運転手 日比野匠さん
「命を扱っているので、1人で走るのと人を乗せて走るでは全然違う。急発進、急停止にならないように、生徒が落ち着いていられるような運転を心掛けている」

*中部観光 佐々木弘社長
「自分の子どもより若い、社会経験も多くないので、大丈夫かなという心配はあった。彼はこの先伸びしろが無限大なので、経験を積んで、すばらしいドライバーになると思う」

仕事を探す若い人にとって、同年代が活躍している職場は魅力的に映るでしょうから、次の人材確保につながることを期待したいですね。

バスは子どもや交通手段を持たない人の大切な移動手段で、運転手不足は生活に直結した問題です。引き続き、取材を続けたいと思います。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。