宮城県栗原市議会で議長に繰り返し退去を求められながら、居座り続けた傍聴人が警察に現行犯逮捕されました。発端は傍聴席で「帽子を脱がなかったこと」。一体、議場では何が起きていたのでしょう。
カメラに向かって「ピースサイン」を見せたのは、栗原市に住む千葉利継容疑者(77歳)。「建造物不退去」の疑いで9月24日朝、送検されました。
「“脱帽拒否”で現行犯逮捕」
記者リポート
「議会の最中、傍聴席に現れた千葉容疑者は『帽子を脱がない』として、議長の退去要請を拒否。警察官が駆けつけ建造物不退去の疑いで逮捕されました」
事件が起きたのは9月22日、栗原市議会の定例会。午前10時45分ごろ、ハンチング帽をかぶった千葉容疑者が傍聴席に入室。議会が休憩に入ったタイミングで議長が直接声をかけました。
議長「帽子を脱いでいただけますか?それができないなら退場してください」
しかし、千葉容疑者は…。
千葉容疑者「人権侵害じゃないか!それはカスハラだ!」
その後も議長が再三にわたって注意しましたが、千葉容疑者は帽子を脱がず、およそ40分間「居座り」。
結局、議会事務局が通報し、駆けつけた警察官が「このままでは逮捕になる」と警告しました。
千葉容疑者は最後まで従わず、その場で逮捕。調べに対し容疑を否認しています。
記者リポート
「千葉容疑者は今年7月にも同じように帽子を被って議会を傍聴。その際、議会側から『次回から脱帽してもらう』と伝えられていたにもかかわらず『俺は帽子を取らない』と主張していたということです」
栗原市議会では傍聴人に対し、「脱帽」を求める規則があります。
栗原市議会 尾形勝通議長
「本人は『民主主義にそういうルールはないはずだ』『帽子をかぶって何が悪い』というお答えでした。議会の尊厳を保たなければならないと思っていたので、議会の秩序を乱してはならんという意味で、通報という事態になってしまった」
「不退去罪」は、「正当な理由なく建物から退去を拒む」ことが要件です。
法律の専門家は…。
草苅翔平弁護士
「議会の傍聴するルールがありますので、そういったルールを守らない方に対して議会の平穏を守るために、必要な措置をとることはありえます。少なくとも私が10年間、刑事弁護をやってきた中で、今まで一度も不退去罪を扱ったことがないので、かなり珍しい罪だと思います」
栗原市民
「もともとあったルールを知っていたのに、ルールを破って議会に参加するのはよくないと思った」
「帽子やコートの着用禁止」規則は、地方自治法にのっとり多くの議会が定めています。栗原市議会は「品位と秩序を保つため」としています。
一方、広島県尾道市では「なぜ帽子を被ってはいけないのか」という市民からの問い合わせをきっかけに市議会で議論となり、2021年に規則を撤廃しました。
帽子やマフラー、コートを着用したまま傍聴できるようにした議会もあるんです。時代にあった規則なのか…今回の事件はそんな問いも投げかけています。