一見どこにでもありそうなコロッケですが、ある理由から、ちまたの話題を集めています。
常連たちも見たことがないと口をそろえる“幻”の絶品コロッケ。
しかも、驚くのは注文してから手にするまでの待ち時間です。
注文が殺到し、気が付けばなんと43年待ちに。
そんな、幻で人々の希望となるコロッケを作っているのは、兵庫県内にある精肉店「名産神戸肉 旭屋」です。
店頭では、1個120円の牛肉コロッケや、350円の神戸牛入りプレミアコロッケの姿がありました。
しかし、「極みコロッケ」と呼ばれる43年待ちのコロッケは店頭に並んでおらず、ネットからのみ注文可能。
店の奥では、そのコロッケに使われる牛肉を準備していました。
神戸牛のA5ランク、3歳雌牛の肩ロースに限っているという「極みコロッケ」の肉。
「名産神戸肉 旭屋」代表・新田滋さん:
(肩ロースは)味が濃くおいしい部位。(他の部位に比べ)細かいサシが入っている。コロッケは肉料理なので…。
この神戸牛を、ミンチではなく“サイコロ大”に。
さらに、タマネギやジャガイモは全て知り合いの地元農家に作ってもらったものを使用し、皮むきなどの処理も“手作業”で行うこだわりぶりです。
神戸牛のやわらかな食感と、あふれるうまみに新鮮野菜がミックスされた「極みコロッケ」のお値段は、1個あたり540円。
肉の原価だけで赤字状態が続いているといいます。
「名産神戸肉 旭屋」代表・新田滋さん:
(作るのは)1日200個(限定)。それ以上作ったらこんな小さい肉屋すぐつぶれます。(Q.極みコロッケを作る原動力は?)神戸牛などは、ネット通販が始まる前は都会でしか買えないものというか。(だから)利尻島とか種子島の人など(離島の人も)買ってくれる人が多かった。
遠方の人にも神戸牛を気軽に味わってほしい。
そんな店主の心意気は想定外の大反響を呼び、大量の“待ち客”が発生。
14年待ちで注文した人は「2019年に頼んだんです。あとちょっとで食べられる…。あと8年か」と語りました。
大量の注文を前に、店主の新田さんは14年待ちとなった段階で一度、注文の受け付け中止を決断したといいます。
ところが、「私がんで、このコロッケが来るまで闘病してやっと食べられて、次(またコロッケが)届くまで頑張って生きていようと思っている。何年待ってもいいから注文再開してほしい」との声が届いたのです。
いつしか、このコロッケは人々の“生きる希望”に。
販売を再開した「極みコロッケ」の待ち客は、今では43年待ちに延びています。
SNSでは、「到着予定は2068年だって笑。生きてられるかな?」「43年後、食べたい!」との投稿が。
「名産神戸肉 旭屋」代表・新田滋さん:
(Q.極みコロッケ“43年待ち”について)すごいです。今タイムカプセル状態ですね。(43年後)僕は生きてないと思います。たぶんいま1歳の孫が(思いを引き継ぎ)44、5歳で作っているんじゃないですか。