信州の農産物を発信です。9月24日、長野市のホテルで県産食材を使った料理を楽しむイベントが開かれます。シェフ自ら生産者を訪ね厳選した食材。生産者の思いも伝わる料理にしたいと試作を重ねました。
長野市篠ノ井の伝統野菜「小森茄子」を使った「グラタン」。
信州オレイン豚を信濃町で栽培した「ナツハゼ」で蒸し煮にしたフランス料理の「ブレゼ」。
信州の食材を使った料理の数々―。
長野市のホテルで9月24日に開催するイベントで提供されます。
ホテルメトロポリタン長野・上海正博 総料理長:
「生産者の皆さま一人一人こだわり、情熱を持って取り組んでいらっしゃる。そういった思いや情熱を伝えられたらと思ってイベントを」
ホテルのシェフ・上海正博総料理長が、自ら生産者を訪ね食材を厳選しました。
ホテルメトロポリタン長野・上海正博 総料理長:
「汗だくになって滝沢さんがナスのセールスポイントを熱く語ってくださいました。そういうのを感じながら厨房に届くと、滝沢さんの顔も浮かびます」
ホテルメトロポリタン長野・上海正博 総料理長:
「私は滝沢さんの小森茄子をフランス料理にしてみたいなと、いろいろ思っていて」
2025年7月、上海さんが足を運んだのは長野市篠ノ井の滝沢知寛さんの畑。県の伝統野菜、「小森茄子」を栽培しています。
この日は魅力を知ってほしいと県などが飲食関係者を招いて見学会を開催。
上海さんも参加したのです。
上海さん:
「小布施の丸茄子は使っていたけど、近くにこんな良いナスがあるという認識がなくて」
「小森茄子」は長野市篠ノ井小森地区原産の丸ナス。玉は大きめ、果肉は厚く密度も高いのが特徴です。
明治のころから栽培され最盛期は120軒ほどの農家がいましたが、育てやすい改良品種に押され生産量が減少。一時、農家は1軒のみとなりましたが、県や市などが伝統を守ろうと苗を配るなどして今は10軒ほどとなっています。
小森茄子農家・滝沢知寛さん:
「今のところ1日おきに350~400個くらい切り取りしている」
上海さんは、滝沢さんら生産者が「小森茄子」を次世代につなげていきたい思いなども聞きました。
上海さん:
「色つやも素晴らしいし、思いを聞いていると力強い味がするのではないかと思いました」
見学会の後は試食会も―。
上海さん:
「小森茄子に関しては主役を張れる素材だと感じます」
小森茄子農家・滝沢知寛さん:
「もう一山、二山の努力を重ねれば目標のところ、継承することの狙いも、到達していけるハードルではないかと思っている」
ナツハゼ農家・佐藤千明さん:
「すみません、足元悪くて」
7月、上海さんが訪れたのは信濃町の山あいにある佐藤千明さんの畑。生産しているのは和製ブルーベリーとも呼ばれる「ナツハゼ」です。
ナツハゼ農家・佐藤千明さん:
「これはもう少し黒くなっていく。あと1カ月で収穫できる状態」
「ナツハゼ」はブルーベリーよりも甘さが少なく、渋みや酸味が強いことが特徴です。
全国各地の山に自生しているものの県内で出荷しているのは、佐藤さんを含めて2軒ほどだといいます。
植え付けから出荷まで10年以上かかり生産する農家が少ないそうです。
2024年、収穫し冷凍保存した実を試食―。
上海さん:
「コショウの実に似てますね。いいですね、おいしい。ブルーベリーとかと比べて酸味が特徴ですね。例えばクリームチーズとかコクのある濃いものと合わせて作ると、非常に料理全体、デザート全体のバランスも良くなると感じる」
佐藤さん:
「今植えて、『10年後にならないとリターンがないです』というと、『えー』って言ってほとんどの方は手を付けないんですね。こうやって皆さま方に、ナツハゼに興味持っていただいていろいろご紹介いただくと仲間も増えるし、良さが少しずつ知られてくると思う」
上海さん:
「生産者の皆さまが長年手塩にかけて育てて収穫までにご苦労されるものですから、慎重に扱わなくちゃいけない、引き締まる思い」
2カ月の間に訪ねた生産者の数は14。上海さんは生産者のこだわりや思いも料理で表現し、9月24日のイベントで多くの人に魅力を伝えたいと考えています。
9月11日。イベントまであと13日。この日、スタッフと一緒に料理を試作しました。
調理スタッフ:
「自分の力と生産者の思いを掛け合わさったように作れたらいいなと思う」
調理スタッフ:
「(滝沢さんの小森茄子は)普通のナスと比べとても甘くてすごくおいしかったので、このナスで挑戦できるのはすごくありがたいなと思って感謝したい」
上海さん:
「大きいとやっぱり口残りしちゃうし、小さすぎると溶けてなくなっちゃう。そのくらい繊細なナス」
まずは、主役を張れると評価した「小森茄子」。少しスパイスを利かせたナス入りの餡を作り、素揚げしたナスで包んで―。
上海さん:
「慎重にゆっくり、ここ形を整えるのが大事だからね」
続いてはデザートです。
上海さん:
「そのまま煮詰めてソースにするのが良いと思う」
ナツハゼのジュースを煮詰めて作ったソースをクレープ生地に塗って―。
上海さん:
「そばに、ナツハゼに、長野県満載だね」
その他、信州オレイン豚を「ナツハゼ」で蒸し煮したフランス料理「ブレゼ」や、小森茄子を使ったグラタンも。この日は、4品を作りました。
小森茄子のフォンダンを試食して―。
スタッフ:
「おいしいです。皮がおいしいですね。ナス本来の味もありますし、ちょっとナスが苦手だったんですけども、これであれば全く問題なく」
小森茄子のグラタンを試食して―。
スタッフ:
「グラタンとしておいしいのはもちろんですけど、グラタンに入っているナスが主役になって、そのナスに物語があるのがすごく花が咲いていると思う」
9月24日のイベントではビュッフェスタイルで34品の料理を並べる予定です。
生産者の思い。ホテルシェフの技術。信州食材を使った料理を「五感」で感じてほしいということです。
ホテルメトロポリタン長野・上海正博 総料理長:
「もう自信満々ですね。生産者の皆さまのこだわりも感じてもらいながら、長野県というものを食材を通じて感じていただけるような、そういう日になればいいなと願っています」
※イベントの申し込みは終了