大学へ進学する人が増える中、短期大学への入学者が減っています。

 30年あまり前の最盛期には31あった北海道内の短大は半減していて、存続の危機にありますが、新たな形を模索する動きも出ています。

 子どもたちの元気な声が響き渡る釧路市の認定こども園。

 子どもたちの安全や成長に欠かすことのできないのが保育士ですが、現場からは今後の人材確保に不安の声があがっています。

 「幼稚園の先生や保育園の先生になりたいっていう人が減っている中で、学校がなくなると、さらになり手がいなくなってしまう」(釧路短大出身の保育士)

 釧路・根室地方で保育士の資格を取れる学校は2校。

 そのうちの1つ、釧路短大は2026年度から学生の募集をしないことを決めたのです。

 保育士の資格を持った先生8人のうち半数が釧路短大出身で、衝撃が走っています。

 「(保育士の)皆さんは地元(出身)です。根室の方も釧路なら学校に通えるけど、札幌になると親御さんの負担も大きい。そうなると(保育士を)目指す人は減ってくる」(認定こども園 釧路ひばり幼稚園 小原雅恵園長)

 全国の短大は1996年度の598校をピークに減り続け、292校にまで半減しています。

 北海道もピーク時の31校からこの30年あまりで6割にあたる18校が姿を消しました。

 残る13校のうち4校が学生の募集停止を発表しています。

 少子化に加え、4年生大学への進学者が増え、定員割れが続いていることが背景にあると言います。

 苦境の中、生き残りをかけて模索する動きも出ています。

 札幌市にある北海道武蔵女子短期大学を60年以上運営している学校法人です。

 この短大も近年、定員割れが続いていて、充足率は8割足らず。

 2024年4月、短大に加え、新たに北海道唯一の経営学部を持つ4年制の女子大学を開設しました。

 少子化が進む中、なぜいま大学を開いたのでしょうか。

 「充足率を切っている状況の中では短大だけで維持するのが難しくなってくるっていう側面はあるとは思いますが、短期大学の(減少を)危機と捉えるのでなく、短期大学そのものが進化すべき時が来ている」(北海道武蔵女子学園 吉地望理事)

 このまま短大はますます減っていくのか。

 関係者からはその意義を強調する声があがります。

 「私みたいに早く社会に出たいっていう人たちにとっては短大ってすごく魅力的な大学」(短大2年生)

 短大は、地元に就職する人の割合が高く、特に北海道は全国一の90%以上となっていて、短大が若者の流出を食い止めている側面もあります。

 全国約270の短大で作る日本私立短期大学協会の副会長も…

 「札幌圏に出て行ってしまうと地域を支える人材がいないということになる。若い方がいないということは次の世代も生まれないということを意味しますので、その地域は消滅していくということにつながる」(日本私立短期大学協会 沢辺桃子副会長)

 さらに、保育士や栄養士などエッセンシャルワーカーを育成する役割も欠かせません。

 地域を支え、暮らしに不可欠な専門職を輩出している短期大学。

 これからも模索は続きます。

北海道文化放送
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