連休を利用して旅行に出かける人々が増える秋の行楽シーズンがやってきた。今年は「敬老の日」を含めた3連休と「秋分の日」の前日が平日となる"飛び石連休"でシルバーウィークは大型連休にならなかったが、休暇を利用して出かける人も。しかし、物価高の影響を受け、旅行のスタイルや行き先にも変化が見られる。
近場志向が強まる旅行先選び
街中の人々に旅行先を聞いてみると「長野の温泉に行く。学生時代に長野で過ごしていたのと、近いので」という人もいれば、「西山公園に散歩やレッサーパンダを見に行ったりはする」「まだ子供が小さいから遠くまで行きづらく、とりあえず隣県の石川県に」と地元や近場で楽しむという声が。物価高の影響で遠出を避ける傾向が強まっているようだ。

実際に、福井市から小学生の子供2人を含む家族4人がディズニーランドへ一泊二日で旅行した場合の旅費を計算すると、2021年の11万2200円から13万7800円と、23%も上がっている。ホテル代やガソリン代の高騰に加え、チケットや食費なども値上がりしていることが要因だ。
北陸新幹線効果で広がる旅行先
日本旅行ワールド米松店の大沢正美社長に話を聞いた。今年は岐阜が人気で、「岐阜から上高地散策など、また北陸新幹線で軽井沢からバスに乗って、(群馬県の)草津温泉まで行けるというルートなどがすごく流行っています」と話す。

北陸新幹線が県内に延伸して1年半が経過し、車なしで行ける範囲が広がったことで、女性同士の旅行や遠方への旅行がしやすくなったという。「福井の人はマイカーが中心。女性だけの旅行では、なかなか車で遠出する人は少ないかったが、新幹線のおかげで遠出できるようになった」と大沢社長は説明する。

さらに、「新幹線が県内に開業した時は、東京に行く人がすごく多かったが、今年は東北の方に人気が集まっている」という。大宮まで行き、そこから新幹線で仙台へ、さらに仙台からレンタカーを使って各温泉地に行くプランが売れているという。
万博閉幕でユニバーサルスタジオが狙い目に
近隣の関西では大阪万博で混雑が続くが、ユニバーサルスタジオジャパンなどのテーマパークの狙い目は10月中旬以降だ。「大阪万博は10月13日で最終なので、その後、宿がかなり空いている。ユニバーサルスタジオジャパンは狙い目」と大沢社長はアドバイスする。

また、旅行スタイルも大きく変化している。「今までは決まりきったパターン化したものが多かったが、これからは新幹線などで個人的な旅行、グループ旅行が大変多くなる」とし、SNSの影響で「インスタなどで素敵な写真を見て、必ずここの温泉に行きたいという希望があり、そこに交通手段やホテルを旅行会社が手配するという、個人の希望に合わせた特色のある旅行が増えている」という。

物価高の中でも、近場志向や新幹線を活用した新たな旅行スタイルが生まれている。