全国で相次ぐ教師による盗撮やわいせつ事件が県内でも繰り返されています。
番組では教育現場を緊急取材。学校では、いまどのような対策がとられているのでしょうか。
今年5月、広島市の小学校で女子児童を教室に監禁しわいせつな行為を行いその姿を撮影・保存したとして逮捕・起訴されている広島市安佐南区の小学校教師、中島健夫被告(39)。
事件があった学校の校長は…当時、
【校長】
「女子の体について「胸が大きいね」という表現はあった。本人に聞いたらそれは言っていないと」
学校では説明会が開かれ、全校児童の保護者およそ500人が参加しました。
【保護者】
「これだけではなくてもっと被害がたくさんあるだろうという話を聞いた。(中島被告が)担任を持っていた子供たちが色々訴えをしていたという話もありました。言葉に表せない」
県教育委員会も対策に乗り出します。
【県教育委員会・篠田智志教育長】
「私物のスマートフォンやデジタルカメラを用いて幼児児童生徒の写真動画を撮影することを禁止する」
県教委は県立学校や市・町の教育委員会に服務規律の徹底を促す通知を出しました。
しかし、今月、靴に仕込んだカメラで10代の女性のスカートの中を撮影しようとしたとして広島市西区の小学校教師、根来弘馬容疑者(27)が逮捕されました。
【説明会に参加した保護者】
「正直、言葉は悪いですけど気持ち悪い。学校で写真を撮ることは行事で必要だけど、できれば機器を持ち込めないようにするのが一番」
教育現場の信頼を揺るがしかねない事件が相次いでいます。
今年6月には、名古屋市で複数の教師が児童の盗撮画像などをSNSで共有していたとみられる事件も明るみに出ました。
文部科学省によりますと、2023年度に痴漢や盗撮などで懲戒処分などを受けた教職員は32人にものぼります…なぜ教育現場での盗撮が後を絶たないのか?
ネット上の盗撮画像やいわゆるリベンジポルノなどを通報するボランティア団体に実態を聞きました。
【ひいらぎネット・永守すみれ代表】
「学校内での着替えの盗撮と思われるんですけども「いいね」の数が他のものと比べて多いですね」
これは女子生徒が教室内で着替えをする様子を盗撮したとみられる動画。
SNS上で拡散され、再生回数はおよそ1万2000回。
こうした盗撮画像や動画は”隠語”を使って共有されることが多いということです。
【ひいらぎネット・永守すみれ代表】
「例えば「逆さ」好きのためのサイトあったら教えてください。教えてほしいです。
この「逆さ」っていうのが隠語でスカートの中を下から撮ったもの。例えばこの絵文字も顔が逆さまになっているじゃないですか。これも逆さ撮り=盗撮を意味する」
被害者が気付かないうちに多くの人に閲覧されてしまう盗撮被害の実態。
なかには、売買されるものもあります。
あるアカウントには、女子中学生を表す「JC」の文字とともに料金が記載され、安いものだと1枚50円で販売されていました。
【ひいらぎネット・永守すみれ代表】
「こういうふうに金額と動画のリストが作られている。低単価でもひと月で10何万売り上げるということはたくさん購入されているということ」
永守さんによると、特に教育現場で盗撮された画像や動画は、高値で取引されることも。
【ひいらぎネット・永守すみれ代表】
「学校の中で複数が映っているような動画というのはやらせの可能性がきわめて低い、本物だっていうところである意味プレミアムがついている。最初クローズドなところに投稿していたけど、それがほかの人の手によって拡散されて目につくことが増えている」
教育現場への信頼が大きく揺らぐ中、学校ではどのような対策が、いまとられているのでしょうか。
呉市の横路小学校では繰り返される事件を受け、校長が以前よりも注意して教室の見回りをするようになりました。
【呉市立横路小学校・高橋伸治校長】
「外から見て死角が生まれないように気を付けることで、タブレットなどを置いて隠せる環境を作らない。すりガラスは各教室によって位置が違うが、そこから見たときに見渡せないことがないよう気を付けています」
普段は利用されていない空き教室にも目を光らせます。
【呉市立横路小学校・高橋伸治校長】
「透明ガラスがある側のカーテンが確実に開いているように気を付けています。不祥事が起きる環境は密室なので、不自然に閉まっていたらここで何か起きているのではないか。カーテンが開いていたら抑止力が働く」
また、教師が授業や運動会などの行事で写真を撮影する際、専用のアプリを導入したタブレットを使用します。
【呉市立横路小学校・高橋伸治校長】
「カメラ機能で写真を撮ったときにアプリに写真が上がってきますので、クラウド上に保存される校長などの管理者が管理することができる。今までの事案はこっそり撮って個人で保存する。これは個人の保存にはならない。管理者が見られるところに保存する。そういった写真を撮ることへの抑止力になる」
学校側が教師に目を光らせるしかない現実が、そこにはありました。
しかし、それでも十分な抑止につながるとは言い切れない、と校長は話します。
【呉市立横路小学校・高橋伸治校長】
「校長として職員をしっかり信頼して、信頼した上で油断しないようにお互いに油断しないようにやっていることがベースにある」
子供たちを守るためには何が必要なのか。
学校現場では試行錯誤が続いています。
■スタジオ
教師による盗撮が相次ぐ中、学校側も対策に頭を悩ませている現状があります。
こうした中、愛知県日進市の小中学校では全国初となる盗撮対策が今月から導入されました。
教員・生徒らの学習用タブレットに盗撮防止アプリが導入され、裸や水着姿などの性的画像や動画を撮影・保存した場合、AIが検知して学校や教育委員会に通知がいくようになっているということです。