2025年は例年にない猛暑が続いているが、この暑さが冬の気温にどう影響するのか気になるところだ。「ウルトラ猛暑の夏の後は暖冬になる」と思われがちだが、実際はそう単純ではないようだ。福島テレビの斎藤恭紀気象予報士の解説。
■夏の暑さと冬の寒さに相関関係はない
「今年は例年になく暑い日が続いていますが、今年の冬の寒さや降雪量は?」という視聴者からの質問に対し、斎藤気象予報士は、まず福島市の過去数年の夏と冬の傾向を示すデータを紹介。「夏はもうずっとウルトラ猛暑が続いている」と述べた斎藤気象予報士だが、その後の冬については「平年並みもあれば暖冬もある。寒い冬もある」と説明した。
これは一見すると矛盾しているように思えるが「ウルトラ猛暑だからと言って、すごく暖かい冬になるというわけではない」と斎藤気象予報士はいう。つまり、夏の暑さと冬の寒さには直接的な相関関係がないというのだ。
■日本の冬を左右する「テレコネクション」
では、冬の寒暖を決めるポイントは何なのか。斎藤気象予報士によれば「海面水温」だという。特に重要なのは、地球の裏側に位置する南米沖のエルニーニョ監視区域の海面水温だ。
地球の裏側なのになんでこんな海面水温が関係あるの?と思うかもしれないが、斎藤気象予報士は「テレコネクションという現象があり、地球の裏側の海面水温が日本の天気に大きく影響する可能性がある」と説明した。
具体的には、この監視区域で海面水温が下がると(ラニーニャ現象)、日本は非常に寒い冬になる傾向があるという。9月10日に発表されたデータによると、この海域は徐々に水温が下がり、「ラニーニャ傾向」が見られるとのことだ。ただし、完全なラニーニャ現象までは至らない可能性が高いとしている。
■2011年の猛暑後の厳冬に見る前例
このような状況の前例として、斎藤気象予報士は2011年の夏と2012年の冬を挙げた。2011年の夏は猛暑で、2012年の冬はラニーニャ傾向だったという。
この2012年の冬がどうだったかというと「この年の雪の量は平年並みだったのですが、とにかくこの年の冬が寒くなった」と斎藤気象予報士は説明、「前年の夏は猛暑なのに、この30年で最も寒い冬になった」と解説した。
■2025年冬の予測
つまり、今年のような記録的な猛暑の後でも、冬は必ずしも暖かくなるとは限らないということだ。むしろ、現在の海面水温の傾向から判断すると、厳しい寒さになる可能性も十分にあると言える。
斎藤気象予報士は最後に「ウルトラ猛暑だからといって暖冬になるとは限らないということをちょっと頭の中に入れておいてください」とアドバイスした。
今後の気象情報に注目しながら、冬の備えをしっかりと行っておくことが重要だ。
◇この記事は、福島テレビのニュース番組「テレポートプラス」(2025年9月11日放送)から抜粋しています。気象データや予報は最新の情報をご確認ください。