北朝鮮の旗を振り、平壌(ピョンヤン)の高層ビル群を見つめる家族。
子供たちが降りしきる雪の中でほほ笑む様子や、切り絵を楽しむ姿が描かれた絵もあります。
これらの絵画は、北朝鮮の作家150人が手がけたもので、作品数は100点以上に上ります。
展示されているのは、北朝鮮と急速に関係を深めているロシアの首都モスクワの美術館です。
「偉大なる民族の国」と題して、9月9日に始まったこの美術展。
油絵や水彩画で描かれているのは、キムチ作りにいそしむ家族の姿や、実った稲穂を収穫する様子など、目にする機会が少ない北朝鮮の日常の風景です。
会場を訪れたロシア人女性は「笑顔の作品を見ると気持ちが明るくなる」と話していました。
その一方で、軍事力を誇示するような作品も展示されています。
笑顔で肩を組むロシアと北朝鮮の兵士を題材にした絵のほか、クルスク州でのウクライナとの戦闘の様子を描いた作品。
別の絵では、銃を構える北朝鮮兵士の足元に無数の銃弾が散乱しています。
さらにミサイルを題材にした作品は、1つ1つの貝殻を貼り合わせて、放たれたミサイルを描いていました。
その会場の一角にある部屋に展示されていたのは、プーチン大統領と金正恩(キム・ジョンウン)総書記が笑顔で握手を交わす写真。
今回、ロシアで初めてこうした大規模な美術展が開かれた背景には、急速に軍事協力を深める北朝鮮とロシアの関係強化があります。
軍事面だけでなく、芸術を通じても協力し合うことで、密接な結びつきをアピールする狙いがあるとみられています。