夏の甲子園が8月、幕を閉じ、新潟県内では9月11日から秋の大会が始まった。春のセンバツにもつながる大会に向けて熱戦が展開される中、プレー以外でチームの勝利に貢献する野球部員が県内随一の進学校・新潟高校にいる。一体どのような活動をしているのか、取材した。

新潟高校・野球部に“アナリスト”誕生「勝つ確率1%でも上げる」

県内随一の進学校・新潟高校。野球部員がグラウンドで練習に励む中、近くにある監督室で一人、机に向かっている部員がいる。

新潟高校野球部の1年生・伊原勇馬さんだ。

新潟高校・野球部 1年生 伊原勇馬さん
新潟高校・野球部 1年生 伊原勇馬さん
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普段の活動では、練習試合を見て試合の分析をしているという伊原さん。実は伊原さんは新潟高校野球部に今年初めて誕生した分析家、いわゆる“アナリスト”なのだ。

新潟高校は今年春の県大会で8強入り。その後、夏の地方大会では3回戦で敗退したものの、2回戦では13得点を挙げコールド勝ちしている。

その裏には、専属のアナリストとして分析を重ねた伊原さんの存在があった。

「この球が来やすいとか、その確率を1%でも上げることによって、打つ確率は当然上がる。それによって試合に勝つ確率というのも少し上がるので、確率を1%でも上げるというのが自分の仕事だと思っている」と話す伊原さん。

もともと野球が好きで、中学時代は選手としてプレーした経験もあるという。

好きな“野球”と得意分野の“分析”を掛け合わせ、今回、アナリストとしての一歩を踏み出した。

1試合分の記録にかかる時間は3~4時間!

この日は、秋の大会に向けて対策を練っていたが、実際にどのように分析を進めているのか。

データ分析
データ分析

例えば、球種の割合を示す円グラフでは、ある投手は直球を60%くらい投げ、あとはスライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボールを投げた割合を可視化。

さらに、そのデータを左打者に限定すると、カーブの割合が多くなるということがグラフを通して明確に分かるようになる。

このほかにも、コースや球種について1球ずつまとめたデータや、どのピッチャーがどの場所にどれくらいの割合で投げるかなどの情報をまとめている。

1試合分を記録するのにかかる時間は3~4時間ほどだという。

大会期間は夜通し作業も…「勝った時の喜びはひとしお」

ここまでの分析の手応えを聞くと、「(夏の大会3回戦)十日町高校との試合ではもうちょっとできた」と反省の色を浮かべる伊原さん。

その前に戦った佐渡高校との試合では、13点を取ってコールド勝ちした。

佐渡の投手のデータは2試合分持っていたため、その結果、データが多少生きたのではないかと振り返る。

悔しさが残る試合もある中で、自身の分析が勝利につながる事が何よりもうれしいと話す。

「特に大会期間は日程が詰まってくると夜通しやらないと終わらないので、だいぶ大変だが、その分、勝った時の喜びはひとしお」

選手・監督からの信頼高く「心の面でも安心感持ってプレーできる」

そんな伊原さんの分析について、選手からは「伊原が分析してくれるから余裕を持ってプレーできる。心の面でも安心感を持ってプレーできる要因になっている」「自分たちで気づかないような事を客観的に教えてくれるのでとても助かっている」などの声が上がる。

新潟高校・野球部 菅勝 監督
新潟高校・野球部 菅勝 監督

さらに菅勝監督は「分析の専属で入ってきてくれて、春は手探り状態だったが、かなり選手の信頼度も高く、私自身も非常に参考になっている。相手チームと戦うに当たって、ゲームに入りやすくなった」と評価。

「一試合一試合を全力で」目標は甲子園出場!

部を勝利に導くため、必死に机に向かう伊原さん。そんな伊原さんが掲げる部の最大の目標は“甲子園出場”だ。

「甲子園に行くためには、目の前の一つ一つの試合を勝っていくというのが大事になる。まずは秋の大会に勝っていけば甲子園につながるし、一試合一試合、全力で戦っていく部分だと思う」と冷静に話す。

大きな舞台、甲子園出場を目指して…頭脳で支える新たな戦力に期待だ。

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NST新潟総合テレビ
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