春の高校バレー石川県代表決定戦。2025年の決定戦に進んだのは男子が小松大谷と金沢学院、女子が航空石川と金沢商業だ。

大谷1年生コンビに注目

王者・小松大谷は4年連続5回目の春高、全国出場を目指す。一度の攻撃にスパイカーが何人も絡むコンビ攻撃が小松大谷の伝統だ。今年はそこに新たなエッセンスが加わった。出島蓮主将は「コンビを使って困ったらエースにあげるバレー」と話す。エースはサウスポーの奥田優人選手。1年生で身長185センチ、最高到達点336センチの高さを生かした強烈なスパイクと勝負強さでチームをけん引する。

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奥田選手は「重要な場面で自分に(トスが)上がってくるのはわかっているので先輩たちがつないだ分、最後決めてやろうという思いでやっています」と意気込む。さらにこちらも1年生、沢野陽選手は身長198センチ。手を伸ばすだけでネットからはみ出るほどの高さだ。高校からバレーを始めたものの急成長をとげ、夏前からスタメンに定着。今年は「大谷1年生コンビ」に注目だ。

桂孝則監督は「1年生の補強も入りましてハイセットをしっかり打てる選手もいるし、コンビを組んで攻撃ができる、そんなチームかなと思います」と話す。5回目となる春高の切符を掴み取り、目指すのは全国の舞台での初勝利、そして頂点だ。「小松!大谷!春高行くぞ!ファイティン!」

創部1年目で決定戦に駒を進める

その小松大谷高校に挑むのは金沢学院大学附属高校だ。創部1年目ながら、決定戦に駒を進めた。チームの中心は、キャプテンの川口泰誠選手と竹田蓮選手だ。両レフト中心のシンプルな攻撃ながら、高い攻撃力で県内の強豪たちに打ち勝ってきた。そんな金沢学院を率いる角雅也監督はVリーグのVC長野トライデンツで守備の要、リベロとしてプレーしていた元プロ選手だ。レシーブの指導には熱が入る。

平均身長では小松大谷より10センチ以上劣る金沢学院。角監督は「レシーブがまず一番のキーポイントだと僕は思っていますので、レシーブで粘って最後はエースの川口と竹田が決めきるという展開ができればこんなサイズでも勝てるんだよというのを見せることはできるかな」と戦略を明かす。

創部1年目、1年生のみで春高出場となれば全国でも初となる快挙だ。新たな伝説を作れるか。川口泰生主将は「粘り強く最後まであきらめずに強い相手ですけど自分たちのバレーをしっかりと最後まで貫き通したい。今年は春高に出ること。来年以降は日本一目指して頑張りたい」と決意を示す。「決勝頑張るぞ!おー!」

能登半島地震乗り越え連覇へ

去年の代表決定戦。石川の高校バレー界に激震が走った。当時創部2年目の航空石川がそれまで22年連続で全国大会に出場していた金沢商業の連覇を止めたのだ。輪島市に拠点を置く航空石川は能登半島地震で校舎などに被害が出たため、現在は東京都青梅市で生活を送っている。

小林由結主将は「サーブで攻めて、ブロックでひっかけて自分たちのカウンターで勝ち進んでいくチーム」と特徴を語る。鋭いサーブに高さを生かしたブロック。去年金沢商業を苦しめたサーブ&ブロックは今年も健在。そしてインターハイ優秀選手でエースの山田夏未選手の攻撃につなげる。山田選手は「エースとして大黒柱でどんなトスも打ち切る役割を担っています。みんなの気持ちを乗せて勝ち切りたい」と話す。

今の3年生は創部1期生。去年の優勝メンバーが残る中、さらに精度の高いバレーで全国を目指す。「支えてくださった方々や応援してくださった方々に恩返しができるように頑張りたいと思います。東京ドーム行くぞ!あ~。東京体育館行くぞ!おー!」

22年連続出場が途絶え復活へ

一方で、去年連覇が止まり悔しさに燃えているのが金沢商業だ。今年のチームは最初の大会である新人戦でまさかのベスト8で敗退。今回も苦しみながら決定戦に駒を進めた。福島礼主将は「決勝では絶対に勝って春高に行きます!」と力強く宣言する。小坂慎吾監督は「去年負けたのは、精度が悪かったりとかやり方が悪かったりとか、悪かったから結果が残らなかったので、本当に大事なのは何かって考え直して、精度をあげたりとかボールを触る目的を持ったりとかというところを変えてきました」と振り返る。

インターハイでも全国出場を逃した今年。小坂監督就任以来14年間で初めて全国大会のない夏を過ごす中、個人のスキルアップに注力してきた。小坂監督は「夏はもう体力づくりと身体づくりをみっちりやってきました」と話す。誰よりも悔しさを感じているエースでキャプテンの福島選手は「春高を逃してしまってその後も負けが続いてどうすればいいっていうか病んでいる時期とかたくさんあったけど、今は新しい後輩とかも入ってきて新しいチームを作ってまたがんばろうと航空石川を倒して全国行こうと思っている」と決意を新たにしている。

成長著しいのが1年生の中川礼菜選手。U16日本代表にも選出され、決定戦のすぐ後にはヨルダンへの遠征も控えている。伝統の粘りのバレーから福島、中川のWエースの攻撃へ。全国屈指の伝統校が復活を誓う。「魂込めたプレーで絶対全国行くぞ!せーの、そいや!」

(石川テレビ)

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