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プレスリリース配信元:株式会社リクルートメディカルキャリア

医師が長く無理なく働き続けられる環境整備のヒントを探る




株式会社リクルートメディカルキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:高崎 透、以下リクルートメディカルキャリア)は、60代以降の医師のキャリアと年収の展望について調査を実施しました。本リリースでは、「60代以降のキャリア」に対する医師の本音について紹介します。

■Executive summary

医師の就労意向と働き方の変化
・70代以降も働きたい医師は6割超──「70代前半まで」希望が最多
・常勤から非常勤へ。年代が上がるほど多様な働き方にシフト
・現在の働き方を続けたい? 60代以降の働き方に関する年代別の就労意向

60代以降のキャリアに求める条件
・医師が重視するのは“通勤負担の軽さ”と“身体的な楽さ”が最多
・希望年収は「1000万~1200万円」ゾーンが最多

報酬と不安、働き続ける理由
・年収維持を望む理由は“生活の安定”と“モチベーション”
・“減収でも許容”。持続可能な働き方や自由な時間を重視する声も多数
・60代以降のキャリアに対する不安は“体力・集中力の低下”や“自分に合った働き方が見つかるかどうか”
・“医師として働き続けたい”。リアルな声から見える希望と葛藤


医師の働き方改革が本格化するなか、医療現場では慢性的な人手不足が一層深刻化すると予想されています。そうしたなかで注目されるのが、医師の「60代以降のキャリア」です。
医師という職業は、60代以降も現場に立ち続ける方が多いのが特徴です。一方で、体力的・心理的な変化や家族との時間の取り方、年収や役割に対する考え方など、年齢を重ねるなかで働き方へのニーズは確実に変化しています。
そこで今回、リクルートメディカルキャリアでは、全国の医師393人を対象に「60代以降の医師のキャリアと年収の展望」に関するアンケート調査を実施。希望する働き方や年収の見通し、不安・迷いの実態を明らかにすることで、医師が長く無理なく働き続けられる環境整備のヒントを探りました。
●医師の4人に1人は「70代前半まで」働きたいと回答。「生涯現役」派も2割以上
医師に「何歳まで働きたいと考えているか」を尋ねたところ、最も多かったのは「70代前半まで(24.2%)」という回答でした。「70代後半まで(12.0%)」「80代まで(5.9%)」「生涯現役で働きたい(20.4%)」を合わせると、70代以降も働き続けたいと考える医師が全体の6割超を占めることが明らかになりました。
一方で、「未定(9.2%)」といった回答も見られ、60代以降のキャリアに明確な見通しを持てていない層も一定数存在していることがうかがえます。





また、年代別に分析を行ったところ、30代以下では半数が「60代まで」働きたいという回答でした。
一方で、「生涯現役で働きたい」という回答が3割近くを占め、明確な年齢はイメージできていないものの、長く医者としてのキャリアを積みたいと考えている層が一定数いることが分かりました。
続いて、40代で最も多かった回答は「60代後半まで(24.7%)」でした。次いで「70代前半まで(20.0%)」「60代後半まで(17.6%)」という結果になりました。50代でも「70代前半まで(22.7%)」「60代後半まで(19.6%)」と、明確な年齢をイメージできている医師が多い一方で、「生涯現役で働きたい」と回答した医師も一定数存在しました。
60代では、「70代前半まで(33.6%)」「70代後半まで(17.2%)」といった70代も現役派が約半数となりました。70代以上の医師は、「80代まで(31.7%)」「生涯現役で働きたい(19.5%)」が過半数を占めており、すでに現場に立ち続けている医師の意思の強さがうかがえます。




●医師の働き方はどう変わる? 年代別に見る現在の働き方と将来意向
医師の働き方には年代ごとの傾向が見られ、将来の働き方の意向にも違いが表れています。
まず現在の働き方について見ると、若年層ほど「常勤勤務(週4日以上)」の割合が高く、30代以下では78.6%、40代では78.8%、50代では74.2%と、常勤を基本とした働き方が主流となっています。
一方、60代では「常勤勤務(週4日以上)」は64.1%で、「定期非常勤勤務(16.4%)」や「開業(7.0%)」、単発のアルバイト勤務の形態である「スポット勤務中心(4.7%)」など多様な働き方が目立ち始め、70代以上になると「常勤勤務(週4日以上)」は24.4%にとどまります。代わって「定期非常勤勤務(46.3%)」や「スポット勤務中心(9.8%)」[桃村1] [結今2] といった柔軟な働き方が主流となっています。


※勤務先が複数ある場合は最も多く勤務している勤務形態で回答


続いて、60代以降も現在の働き方を続けたいかという設問では、年代によって意向に差が出ています。
40代以下では「このまま続けたい」と回答した割合は2割程度にとどまり、半数前後が「今後は変えたい/変える予定がある」と回答しました。
一方、50代では「このまま続けたい」が44.3%で、「今後は変えたい/変える予定がある(33.0%)」と二分される結果になりました。60代では「このまま続けたい(50.8%)」が過半数を占め、今の働き方を継続したいという意向が最も強く表れています。同様に70代以上についても53.7%が「このまま続けたい」と回答しています。
一方で、「分からない・未定」と回答した割合は40代以下で約2~3割と比較的高く、まだ将来の方向性が定まっていないこともうかがえます。




●6割の医師が「通勤と身体的負担の軽さ」を重視。60代以降の働き方のリアル
医師は今後の働き方を考える上で、どういったことを重視しているのでしょうか。
最も多くの医師が重視すると答えたのは、「自宅からの距離や通勤の負担面(60.8%)」および「勤務内容が身体的に楽であること(60.8%)」でした。60代以降のキャリアにおいては移動や体力面での負担を抑え、無理のない範囲で働き続けたいというニーズが高いことが分かります。
また、「自由な勤務日・時間の調整(56.0%)」や「人間関係・雰囲気の良さ(51.1%)」といった項目も上位に。60代以降のキャリアではプライベートとの両立ができ、快適な職場環境で勤務ができるストレスフリーな働き方を求める姿勢が読み取れます。
一方で、「医師としてのやりがい・専門性の活かし方(43.5%)」を挙げた医師も一定数存在し、経済的・物理的な条件に加え、医師としての誇りややりがいも大切にしていることが分かります。
こうした「働きやすさ」や「やりがい」などを求めるなかで、「年収面」を重視する声も55.5%と半数以上に上り、年齢を重ねても一定の収入を確保したいという本音も垣間見えました。では実際に、医師は60代以降の働き方において、どのくらいの年収を希望しているのでしょうか。




●60代以降、どのくらい稼ぎたい? 変化する年収の現実と希望
医師の年収は、50代までは年齢とともに上昇傾向にありますが、60代以降では低下していく傾向が見られます。
実際に現在の年収を見てみると、30代以下では「1401万~1600万円(23.8%)」が最多でありながら、「1000万円未満」も1割以上存在。40代では「2401万円以上(24.7%)」が最多でした。50代ではさらにその割合は高く、28.9%が「2401万円以上」と答えています。
一方、60代では「1000万円未満(24.2%)」が最多、70代以上ではその割合が過半数(58.5%)に達しています。


※複数の勤務先がある場合は全ての勤務先の年収を合算した額


では、60代以降も働き続けるとした場合、医師たちはどのくらいの年収を望んでいるのでしょうか。
60歳未満の医師に「60代以降に希望する年収」を尋ねたところ、いずれの年代も最も多かったのは「1000万~1200万円」で、約2~3割を占めていました。
一方で、40代以下では「1000万円未満」を望む回答も1割を超え、収入だけでなく、ワークライフバランスを意識する姿勢も見て取れます。


※60歳未満のみ聴取


また、60代以降の希望年収を現在の年収と比べると、「現在の年収維持」もしくは「現在より高い年収」を希望する医師は、いずれの年代も合わせて約半数となりました。




●医師が“年収維持”を望む背景とは 
60代以降も現在と同等もしくはより高い年収を希望した医師たちに、その理由を尋ねたところ、最も多かったのは「生活レベルを維持するため(57.1%)」でした。次いで、「生活費・教育費など、現実的に減らせない支出があるため(45.7%)」「将来の生活に不安があるため(42.9%)」と、生活水準の維持や老後不安に基づいた理由が多数を占めました。
また、「働くモチベーションが下がってしまうため(41.0%)」と答えた医師や、「高い専門性・責任に見合った報酬は維持すべきだと思うため(30.5%)」という理由も一定数見られ、報酬が意欲維持に直結している実態も浮き彫りとなっています。
一方で、「もっとチャレンジしたいことがあるため(14.3%)」といった声もあり、医師として経験を積みたいという意欲が感じられる回答もありました。


※60歳未満のみ聴取

●“減収でも許容”の背景にある働き方の価値観は?
一方で、60代以降の年収について「現在より低い年収」を希望した医師も、いずれの年代でも約半数を占めていました。この背景を探るため、「年収が減ったとしても許容できる理由」を現在の年収からの増減にかかわらず全員に尋ねました。
その結果、70代を除きいずれの年代も「無理なく働き続けられる環境の方が大事だから」「収入よりも自由な時間やライフスタイルを重視したいから」の割合が高く、30代以下では「無理なく働き続けられる環境の方が大事だから」が7割を超え、特に高い傾向が見られました。仮に年収が減ったとしても、“持続可能な働き方”ができれば許容できるという医師も少なからずいるようです。
また、「収入よりも自由な時間やライフスタイルを重視したいため」はいずれの年代も約5~6割と高く、特に40代では63.5%と最も高い結果となりました。働き方改革の進展やワークライフバランス志向が、医師の間にも広がっていることが読み取れます。70代以上では「医師としてできることで社会貢献をしていきたい」という回答が他年代より圧倒的に高く、61.0%に上りました。
一方で、「医師としての仕事に“やりがい”を感じており、収入は二の次だから」と答えた割合は60代以下では2割未満にとどまりました。


※現在60代以上の方は現在の年収が減っても許容できる理由

●医師の半数以上が不安を抱える「60代以降のキャリア」
60代以降の働き方や年収に対して明確な展望を持つ医師がいる一方で、60代以降のキャリアを迎えることへの不安も少なくありません。
医師としての60代以降のキャリアに対し、不安があるかを尋ねたところ、「はい(55.0%)」と回答した医師が過半数を占めました。「いいえ(22.9%)」や「分からない(22.1%)」を大きく上回っており、多くの医師が、年齢を重ねた先の働き方に何らかの不安を抱えていることが明らかになりました。





具体的にどのような点に不安を感じているかを尋ねたところ、最も多かったのは、「体力や集中力の低下により、これまでと同じ働き方が難しくなること(64.4%)」でした。医師という職業の特性上、長時間勤務や夜勤、緊急対応など、一定の体力と集中力が求められる場面が多いため、加齢による変化に対する不安が大きいと推察されます。
次いで、「自分に合った働き方が見つかるかどうか(56.9%)」や「収入面での不安(50.9%)」が上位となっており、これまでの働き方からの転換や、それに伴う収入の変化に対する懸念も強く表れています。
また、「医師としての役割や需要が減っていくのではないかという不安(37.0%)」や「後進との技術や知識の差に対する不安(30.6%)」といった、医師としての立場・価値に対する不安も一定数見られ、時代の変化や医療の進化に適応し続けられるかどうかに戸惑う声も寄せられました。
さらに、「職場での居場所がなくなること・疎外感を感じること(19.9%)」といった、人間関係や組織内でのポジションに関する不安も2割近くに上り、年齢を重ねることで見えづらくなる“居場所”への不安も浮かび上がっています。




●いつまでも働き続けたい医師、悩む医師
60代以降のキャリアの選択肢が広がる一方で、「医師としていつまで、どのように働き続けるか」という問いには、簡単に答えが出せない現実があります。そこで本調査では、医師として“働き続ける”ことについての率直な思いや希望を自由記述形式で尋ねました。
多くの医師が、経験やスキルを活かして社会に貢献し続けたいという強い思いを抱く一方で、体力的・精神的負担、制度面の変化などへの不安も少なくないことが浮き彫りとなりました。
以下、リアルな声を紹介します。

■働き続けることに前向きな医師の声

・自身の希望である医師という職業に就けた以上、自分の気が済むまで医師として生きていきたいと思うから。(30代/消化器内科)
・自分のペースで、可能な限り長く、患者さんにも役立つ医療を実践したい。(30代/精神科)
・医師であることが人生と思っているので特に違和感はない。必要とされるように努力するのみ。(40代/循環器内科)
・知的好奇心と社会貢献を両立できる恵まれた職。(40代/小児外科)
・生きがいである。(50代/一般内科)
・専門的な手術手技を得ることができた。一生手術で、社会に貢献していきたいです。(50代/脳神経外科)
・医療福祉業界での人手不足が続くなかで、心身共に健康である間は、自分の体力や気力の続く限り、さらには必要とされる限りは働き続けたい。(60代/一般内科)
・生涯、社会貢献したい。今まで自分を頼ってくださった患者様に感謝している。一緒に頑張ってくださった医療従事者にも感謝している。これからも頑張りたい。(60代/気管食道外科)
・無理はしたくないが、若い医師たちに過度な負担が集中しないよう、手助けになれたら、そういう役割は果たしたい。(60代/その他)
・長年培った技術や知識は定年という区切りで投げ捨てるべきではなく、その後も活かしていく方が、社会的貢献になると考える。(60代/循環器内科)


■将来に向けて懸念を抱く医師の声

・将来仕事があるか不安。(40代/呼吸器内科)
・医師の労働環境や待遇の改善が見込めないため働き続けるかは疑問。(40代/乳腺外科)
・体力の問題。また最新の知識の習得は難しい。(50代/消化器内科)
・医学の進歩が早すぎて、アップデートがとても重要。また、さまざまなsubspecialityがあり、それぞれをできるようにするのは結構大変。タスクシフトもできていない。(50代/泌尿器科)
・年齢と関係なく働き続ける方はいらっしゃるが、勉強をやめてしまって、例えば、ガイドラインに沿った治療中の患者さんの治療を、ガイドラインにない治療に自身の経験だけで平気で変更してしまうようになったら、患者さんに不利益をもたらすリスクも高くなるため、引退していただきたい。(50代/一般内科)
・せっかくの国家資格であり、役に立つ仕事ができれば良いと思っていますが、体力気力がどこまで持つかが問題です。(60代/一般外科)
・社会参加としては医師として働きたいが、患者さんの迷惑にならないよう適当な時期に辞めるべきと思う。(60代/眼科)
・いつまで働かないといけないのか迷っている。(60代/糖尿病内科)
・経営側は、少しでも若い医師を雇用したいという姿勢を感じる。そのような状況でも、ベテランならではの手腕を見せようとしているが、経営側は医療の質など実際には求めていないジレンマを感じる。(60代/リハビリテーション科)
・ずっと働きづめだったので、もう働くことに未練はありません。(60代/産婦人科)
・常に、医療知識の更新ができているか、不安はある。また、年とともに正確に判断できなくなるのではという不安もある。(60代/その他)


■要望や提言

・急性期ではなく、地域の患者さんに寄り添う医療をしたいと思っています。(30代/腎臓内科)
・働くのは良いが、週4.5や5だとワークライフバランスが悪すぎる。週1や2だと他の医師へ負担がかかるので、週3や3.5などの選択肢があれば年齢が上がっても他の医師と分担しながら無理なく働ける環境になると思う。(40代/腎臓内科)
・医師としての知識経験を活かせる場は、保険診療とは限らない。(60代/リハビリテーション科)
・若い医師が優遇されるのは仕方がないが、医師としての実力、経験を評価してほしい。(60代/リハビリテーション科)

●医師が“無理なく働き続ける”ために、今求められること
本調査では、医師が60代以降も自身の経験を活かし、納得感のある形で働き続けたいという希望と、変化に対するリアルな不安が併存していることが明らかになりました。
医師が長く、無理なく働き続けるためには、柔軟な勤務体制や年代に応じた役割の再設計、そして経験や専門性が正当に評価される仕組みが求められています。
医師が60代以降も納得感を持って働き方を選び、次世代の支え手としても活躍し続けられる環境整備こそが、これからの医療現場の持続可能性を高める鍵となるはずです。


解説:リクルートメディカルキャリア 営業統括部長 高野 潤2011年リクルートメディカルキャリア入社。医師・看護師・薬剤師の人材紹介事業マネジャー、人事マネジャーを経験し2021年より現職。統括部長として医師領域の求職者側・採用者側の両営業部署を管轄し、業界動向や転職マーケット情報に通じる。



調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:「リクルートドクターズキャリア」に登録する全国の医師
有効回答数:393人
調査実施期間:2025年6月23日(月)~2025年7月7日(月)
調査機関:リクルートメディカルキャリア
≪調査結果を見る際の注意点≫
図表内の%の数値は小数第2位で四捨五入しているため、差分や合計値において、単純計算した数値と一致しない場合があります。

リクルートメディカルキャリアについて
1979年の創業以来、リクルートメディカルキャリアは、「医師」「薬剤師」を募集している医療関係施設に人材を紹介するサービスを提供しています。医師が医師として働きつづけ、充実した人生を送れるよう、医師の方のキャリアアップ、キャリアチェンジ、ワークライフバランスなどに応じて仕事・職場情報を提供し、転職をサポート。医療機関様に対しては、安定的な医師採用を実現するためのお手伝いをしています。


詳しくはこちらをご覧ください。
リクルートグループ:https://recruit-holdings.com/ja/
リクルートメディカルキャリア:https://www.recruit-mc.co.jp/

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