大阪府の吉村知事は24日の取材で、13日に閉幕した大阪・関西万博の会場の「大屋根リング」を「1周の円で残してほしい」という声があることについて、従来からの「維持管理の費用」の課題に加えて、「土地の有効利用の観点からも難しい」と説明しました。

■埋め立て費用を賃貸・売却などで賄わないと「大阪市が大きく赤字に」

【吉村知事】「(“円で残す”ことが難しい理由は)まず費用ですね。維持管理です。

これについてはもともと永久に、長期間保存するという前提で作っていませんので、その防腐処理も防水処理もしていません。

これを本当に全部やるとなるとですね、相当多額の費用がかかると。それは誰が支払うのかということがまず1つです。

それから土地を有効活用していく必要があります。土地というのは、大阪市の所有地ですけれども、もともと存在していた所有地ではなくて、埋め立てによって造った土地です。

港営会計という会計で収支をあいつ組み合わせるようにして造った土地なんです。

つまり埋め立てをして、そして埋め立てに費用がかかります。その費用はどうやって回収するのと言うと、これはでき上がった土地を賃貸したり、あるいは売却したりすることによって収支を相償わせる。

それをしなかったら、大阪市が大きく赤字になるという会計で、この埋め立て地ってのは造っています。

これは別に万博会場にかかわらず、埋め立てはすべて港営会計で作った土地はそういう運営になっています。

その中でその土地をしっかりと有効活用していくという観点からも、民間活用していく必要がありますから。

民間に意見を聞く限りでは、リングをあの状態のまま残していくのは難しいという判断がありました」

■「円で残して」は「なかなか難しいんだろうと」

【吉村知事】「ただ僕は絶対残すべきだと。一部でも絶対にこれはレガシーとして残すべきだと思いました。

僕は『全部なくす』は絶対駄目だと何とか食い下がって、そして200メートル部分については、費用はかかるけどもしっかり残していこうと、そして緑地公園にしていくと、こういう判断を関係者間との合意を経てここに至りました。

ですので、そういった経緯も含めて考えるとその1周全部残す案であったりだとか、気持ちはわかります。

現時点で万博が終了して、『素晴らしいよね』という声が開幕当初よりずっと広がって、そうやって評価していただけることは嬉しいなとは思います。

建築途中も『こんな無駄なものをどうして造るんだ』とさんざん言われましたけれども、今残すべきだと評価していただけることは本当に嬉しいなと思いますが、そういう意味で、一部はしっかりと残していきたいと思います。

ただ、今からですね、その他の部分についても、あるいは何か繋がる、円でつなげていくべきだというアイデアがあるとしても、現実問題としては、なかなかそこは難しいんだろうとは思っています」

関西テレビ
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