2011年3月11日、地震と津波そして原発事故に襲われた福島県。直接死・関連死合わせて4179人の尊い命が奪われ、約2万5000人が今なお避難生活を送っている。
被害から15年目となる2025年、沿岸部には「あの日」の記憶を呼び起こすような緊張が走った。
緊張走る 遠地津波で初めての警報
2025年7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近で発生した地震に伴い、最大3メートルの津波が予想される津波警報が発表された。いわき市など7つの自治体の約11万世帯、24万6000人あまりに避難指示が出され、あわせて47の避難所に1600人あまりが身を寄せた。

避難した人は「サイレンが鳴っていたのでびっくりした。洗濯物を干して落ち着いたら避難しようかという感じだったけど、慌てて避難してきた」「3.11の時のことをが頭に入っている。だから避難所に逃げて来た」と話す。

福島県内で観測された津波の高さは、相馬で最大70センチ、いわき市小名浜で最大60センチ。3.11とは違い、遠くの地震が引き起こした津波への対応に、県内では新たな課題も浮き彫りになった。
「遠地津波」防災マイスターの解説
東日本大震災の時とは違い、地震の揺れを感じない、不気味な津波だった。
東京大学大学院の客員教授で防災マイスターの松尾一郎さんは「なぜ津波が発生するのか、理解することが重要。日本は、太平洋を囲む環太平洋火山帯の端っこにあって、地震も火山も多い国。太平洋のど真ん中に海の下に大きな地殻(プレート)があって、それが年間約10cm北西方向に動いて、沈み込む。これが、カムチャッカや東日本大震災の地震・津波の基になっている」と解説する。

また、遠地津波については「日本より600km離れた場所で発生する地震に伴うもの。遠いので、揺れはほぼ感じない。1960年チリでM9.5の地震が発生、津波が起こって20時間かけて日本を襲った。”地球の真裏で起きた地震にもかかわらず”最大で6mもの津波が到達し、全国で139人もの死者が出ている。いまは、情報が的確に発表されるので、津波の恐れがあったらきちんと避難すること」と話した。
(福島テレビ)