水道職員の減少と現場の変化
国土交通省の統計(令和3年度)によると、水道に携わる職員数はピーク時と比べ、37%減の約4万7000人、下水道事業に携わる職員数は43%減の約2万7000人となっています。
とくに現場を担う「技能職員」は、1985年の約1万2000人から、2019年には約2700人へと、80%近くも減少しています。

水道管の破裂などトラブルが発生した際、現場に駆けつけて修繕作業を担う人が、民間に委託しているとはいえ、かつての5分の1にまで減っているという深刻な現実です。
しかも、現場の仕事には経験と勘が求められます。水の流れ方、地中の管の位置、作業の手順は、長年の経験で培われるもの。こうした知識の継承も難しくなっています。
小規模な自治体ではさらに厳しく、「水道専任職員が一人だけ」というケースも少なくありません。
たとえば北海道のある町では、水道トラブルが起きた際、唯一の担当者が地元業者に電話で指示を出しながら対応していました。その職員は「8年間、道外に出ていない」と語っており、24時間体制で現場に張り付いているのが実情です。