8月下旬に入っても厳しい暑さが続く中、「かき氷」の需要は依然として伸びている。
そのかき氷は、平安時代、清少納言の「枕草子」にも記されるなど古くから夏の風物詩として親しまれてきた。そんな日本の伝統文化ともいえるかき氷の素材や製法にこだわる専門店が鳥取・倉吉市にある。
この専門店がオープンした意外なきっかけを取材した。

清少納言「枕草子」に登場…“けずりひ”=かき氷 倉吉市に専門店
器の上に削り出された氷…ふわふわでまるで雪のようだ。
倉吉市にあるかき氷専門店「けずりひたいら少納言.G」。
「けずりひ」とは平安時代、清少納言が書いた「枕草子」に出てくる「かき氷」のこと。

埼玉県にある本店からのれん分けして5年前にオープンした。
かき氷に使うのは、3日以上かけて不純物を取り除いた「氷」。

削り方などにこだわり…こだわりのシロップで味わう
削るタイミングやスピード、盛り方にもこだわり、ふわふわでなめらかな舌触りに仕上がるという。そしてそこにかけるのはこだわりのシロップのみ。フルーツなどのトッピングは一切ない。

けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
お待たせいたしました。「氷庭の枯山水」です。
提供メニューの一つ「氷庭の枯山水」は白あん、抹茶、ミルク、3つの自家製シロップがかけられ、そのグラデーションが見た目にも涼しげだ。

村上遥アナウンサー:
いただきます。ふわふわで口の中で、すぐ溶けちゃうんですけど白あんの味もしっかりあって、濃い抹茶と合いますね。おいしいです。
観光客:
「とてもおいしくて、夏にぴったりです。ふわふわでなめらかな食感です。」「おいしいです」
食感だけでなく、見た目にもこだわりが詰まったかき氷。
提供している店も、ちょっとユニークな場所にある。

かき氷専門店を開設したのは…本業の店のすぐ隣
けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
こちらが本業のお店になります。
村上遥アナウンサー:
こちらは何のお店でしょうか?
けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
ひな人形やかぶとを取り扱う人形専門店です。

「人形のたいら」は大正2年の創業、110年余りの歴史を持つ老舗だ。
ひな人形や五月人形に盆提灯、さらにおもちゃや駄菓子も並ぶが、なぜすぐ隣に「かき氷」の店を構えたのか?
「おいしいものを提供」遠くからも来てもらいたい 誘客の願い

けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
お人形屋さんって入りにくいじゃないですか。おいしいものを何か提供すれば、少しでも遠くから来て下さるかなと思って。

ひな人形や五月人形などいわゆる「節句人形」の市場は、1985年には約465億円だったが、少子化が進んだことや、マンションの普及など住環境の変化を背景に、2021年には約76億円と約40年で6分の1ほどに縮小している。
この店でも売り上げの減少を実感する中で、平さんが思い浮かべたのが…。
けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
職人さんたちの物づくりと、かき氷の作り方はリンクしているところがあります。

店を訪れてもらうきっかけにと目を付けたのが「かき氷」。
技を尽くして造形にもこだわる点が、繊細な職人技の結晶ともいえる人形づくりに通じるところがあるのだとか。加えて、節句人形の商戦が終わったあとの夏場には「うってつけ」の商品だったという。
繊細な職人技との共通点…老舗人形店の新たな“夏商戦”

けずりひたいら少納言.G 平 真さん:
誰かに何かをしてもらったということを感じられるものの1つなので、お節句などは子どもたちにとっては大事な文化なんじゃないかなと思います。次の世代に伝えていきたいなと思っています。
子どもへの愛情や健やかな成長の願いを託す節句人形。
大切な日本の伝統文化を守っていくためにも平さんは精魂込めて氷を削る…。
「けずりひたいら少納言.G」は9月まで営業する予定だ。
(TSKさんいん中央テレビ)