12月4日、長野県野沢温泉村で雪かきをしていた78歳の男性が、クマに襲われ顔などにけがを負った。専門家は、雪が降る時期の人里への出没はかなり珍しく、山の餌が不足していることが影響した可能性があるとしている。
クマに襲われ78歳男性が顔などにけが
雪の中を歩く黒い動物、クマ。4日朝、野沢温泉村で撮影された。
近くでは4日、人身被害も発生した。
(記者リポート)
「野沢温泉村の温泉街のすぐそば、こちらで男性がクマに襲われました。男性の血痕が残っています」
警察などによると、4日午前6時半ごろ、78歳の男性が、店の前で1人で雪かきをしていたところ突然、クマに襲われた。
男性が血を流して倒れているのを観光客が見つけ、救急搬送された。
男性は、顔にけがをした他、足にはかまれた痕もあったという。
救急車を呼んだ女性:
「意識はしっかりしていた。タオル持ってきてすぐ止血したけど、顔と足が痛いって言ってました。心配、とっても。これからスキーシーズンなので」
店の関係者:
「村内で人身被害はあまり聞いたことがなかったんで、驚いています」
15分後、現場付近の駐車場にクマの姿
冒頭のクマの画像は、被害の約15分後に現場から300メートルほどの駐車場で撮影されたもの。
クマの足跡もー。
クマを目撃した人:
「雪の状況見ようと外見たら、ちょうどガードレールのところに(クマが)見えて。え、大きいからクマかもって感じで。上の道を行って、駐車場の方に下りて、そのまま行っちゃった。(歩く速さは)のそのそ、より速い」
警察や村、猟友会員がパトロールをしたが、発見には至っておらず住民などに注意を呼びかけている。
専門家「かなり珍しい事例」
雪が降る中で起きた人身被害。
専門家は、珍しいケースだとしている。
NPO法人信州ツキノワグマ研究会 岸元良輔理事長:
「今回かなり珍しい事例かなと思うんですよね。12月に入ってから、人の生活圏というか住宅地まで出てくるという事例が、多分長野県でこれまではなかったんじゃないかなと。雪が多い地域で、そういうところにブナ林が発達するんですよね。今年は全国的にブナが凶作と伝えられていて、おそらく、餌が足りなくて、そういうときはクマは行動圏が広くなりますので、たまたま住宅地の方に迷い込んでしまったと」
クマはそろそろ冬眠する時期だとされている。
今後も出没は続くのだろうか。
NPO法人信州ツキノワグマ研究会 岸元良輔理事長:
「(冬眠の時期は)個体によってずいぶん幅があって、今回も冬眠に入っていなかった個体だと思う。12月末まで冬眠しない個体もそれなりにいるので、自分たちの周りでクマの目撃情報があるようでしたら、警戒は必要なのかな」
