原爆資料館の展示が子どもの心に与える影響について、広島大学の専門家による初めての調査が始まった。多くの修学旅行生が訪れる資料館では、見学中に気分が悪くなるケースもあり「どのように伝えるか」が検討されている。

子どもの心に残る影響を調査

8月26日、広島市内の小中学校で行われた調査では、保護者の許可を得た児童や生徒が参加。

保護者の許可を得た生徒を対象にアンケートを実施
保護者の許可を得た生徒を対象にアンケートを実施
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原爆で亡くなった子どもたちの遺品や当時の写真、被爆者が描いた絵などを見て、感じたことをアンケートに記入した。専門家によるヒアリングも見学直後と1カ月後の2回に分けて実施し、トラウマの有無などを確認する。

なぜ、このような調査を行っているのか。
原爆資料館の豆谷利宏副館長は「東館地下に平和学習を中心とした展示室を設けようとしている。子どもたちへの心理的な影響を参考にしつつ、どのような展示が良いのか具体的に検討したい」と話す。

伝えるべき「凄惨さ」と配慮の間で 

原爆資料館の入館者数は2024年度、約226万5000人で過去最多を記録。

混雑が深刻化し、修学旅行生などが落ち着いて見学することが困難になっている。そのため、原爆資料館の東館地下に子ども向けの平和学習の展示室を新たに作る計画が立ち上がった。

2025年6月の検討会では、有識者や被爆者、教師などが集まり展示内容について議論。
「途中で気分が悪くなって見学できなくなる子どもがいる」と心理的配慮を求める意見が出た一方、被爆者からは「凄惨さを伝えることこそ大事」という声も上がった。

2025年6月に開かれた「平和学習展示の検討会議」
2025年6月に開かれた「平和学習展示の検討会議」

調査は高校生にも対象を広げて行われ、結果は10月下旬に公表される予定。2028年度から始まる新しい展示に生かされる方針だ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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