ガソリンの暫定税率の廃止に向けて議論が進んでいますが、単に減税とはいかないようです。

25日の「ソレってどうなの?」は、「ガソリン減税なのに…結局“増税”!?」をテーマにお伝えします。

先週、経済産業省が発表したレギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均小売価格は174円70銭。
5週ぶりの値下がりとなったものの、高止まりが続いている状態です。

そんな中、25日、都内のガソリンスタンドを取材すると、ドライバーは「今高い。軽油でもガソリンでも変わらない。トラック会社の運賃も上がってくる、みんなが大変」と話しました。

ガソリン価格を巡っては、参議院選挙の結果を受けて与野党がガソリンの暫定税率の廃止に向けて動いていますが、与党側は「恒久財源が必要」と主張していて、違う形での税負担の仕組みの導入の可能性が浮上しています。

減税するのに違う形で税負担の可能性。
街の皆さんはどう思っているのでしょうか。

ドライバー(50代):
そんなに車に税金ばかり付けられても困る。(減税の)意味がなくなりますよね。せっかく(税金が)安くなってもそっち(新税)に回ったら。

ドライバー(60代):
結局プラスマイナスゼロになる。せっかく暫定税率が廃止になっても、何かでとられたら負担が消費者にかかる。アンバランスだなという気がします。車を利用している人は、車検とか含めて税金をとられている。さらにというのは、おかしいというか、きつい。

廃止が検討されているガソリンの暫定税率とは、50年以上前に道路整備の財源不足を補うために導入されたものです。
その後、2009年に何にでも使える一般財源へと変更されました。

現行、ガソリン1リットルあたり約25円課税され、月に80リットルのガソリンを使用する家庭なら2000円程度の負担となっています。

この負担を軽くするためのガソリン減税ですが、減税とするとある問題が。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長に教えてもらいました。

智田裕一解説副委員長:
ガソリン税の暫定税率が廃止された場合、国や地方の財政に穴が開くので、財源を別のやり方でどう手当てするかが大きな課題になる。

日本の道路や橋などのインフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、老朽化が進んでいます。

2025年、埼玉・八潮市では、下水道管損傷による道路の陥没事故が起き、今もなお復旧作業が続いている状態です。

ガソリン減税をすると、老朽化したインフラの維持や補修に充てていた1兆円もの税収が減ってしまうといいます。
この財源を確保するため、減税した代わりに違う形での税負担の仕組み・導入の可能性が浮上しているんです。

智田裕一解説副委員長:
道路の整備や老朽化対策にたくさんのお金がかかる現状を踏まえて、検討される可能性が出てきているのが、自動車ユーザーに暫定税率分を別の名目で引き続き負担してもらうというやり方。しかし、看板の掛け替えに過ぎないとして、反発を招くことが想定されます。

この暫定税率に代わる税負担の浮上にネット上では1万2000件以上のコメントが。

さらに、国民民主党や日本維新の会の国会議員からも驚きの声が上がりました。

国民民主党・籠島彰宏議員のXより:
どういうこと?与党はなぜガソリン減税が求められているのかを全く理解していない。

日本維新の会・伊東信久議員のXより:
新たなる税を作るのは国民の皆様に失礼です。まずは徹底した行財政改革の議論をするべきです。

青井実キャスター:
岩田さん、減税の代わりに違う形ということですが?

SPキャスター・岩田明子氏:
車って国民の足ですよね、特に地方では必須なものですよね。暫定税率を廃止して新たに税負担となると物価高対策にもなりませんし、であるならば、税外収入や歳出削減など、まずそっちを議論すべきではないかなと思います。

「看板の掛け違えに過ぎない」という話もありましたが、FNNが週末に実施した世論調査では、ガソリン税の暫定税率廃止について48.3%が「早く廃止すべき」と回答。「急がず廃止すべき」と合わせると8割以上が廃止すべきだと答えました。

道路の整備費用は利用者が負担すべきという考え方も根強い中、ガソリン減税に向けた今後の動きは一体どうなっていくのでしょうか。

智田裕一解説副委員長:
ガソリン税がかからない電気自動車も、重量が重く道路に負担をかけているのだから、EVユーザーにもそれなりの負担をしてもらおうという意見も出てきそうです。物価高の直撃を受ける家計支援と財源確保をどう両立させるのか、結論までのハードルはかなり高そうです。

ガソリン税の暫定税率廃止に向けて、与野党協議では具体的な結論には至っていません。

次の会合は8月28日に開かれる予定で、政府・与党が増税以外の案を示すのか注目されます。