8月15日、終戦から80年を迎えます。
この節目にあわせ、子どもたちが身近な地域に残された戦争の跡をめぐり戦争や平和について考えるバスツアーが米子市で行われました。
「戦争をなくしていくために、ぜひともきょうこの機会に戦争というものを勉強していただきたい」
8月8日、米子市に集まったのは小学4年から6年までのを子どもたち20人あまり。
終戦80年を迎えるこの夏、子どもたちに戦争や平和について考えるきっかけにしてもらおうと企画されたバスツアーの参加者です。
これから米子市内に残された戦争の跡をめぐります。
子どもたちが、まず訪れたのは米子市美術館。ここで開かれている戦争をテーマにした企画展を見学します。
企画展「戦後80年 未来へ伝える昭和の戦争」。
米子市の山陰歴史館、米子市美術館、埋蔵文化センターの3つの施設が所蔵する写真や絵画、発掘品などの資料約200点を通じて、未来を担う世代に戦争の惨禍を伝えます。
解説員:
「その辺の町を歩いている人とか、建物。そういったものを狙って打っていました。」
米子市でもあった空襲の被害。
教科書や学校の授業では、こうした身近な地域の戦争の被害を学ぶ機会は多くありません。
解説員:
「(焼夷弾は)実際は、これが20本ぐらいの束になって展示ケースと同じくらいの大きな爆弾。これを作って上から落としていくんです」
子どもたちは解説を聞きながら、展示室を見学。
戦時中、子どもたちが兵士をめざすように教育されていたことや毒ガスを使用した空襲に備える訓練を受けていたことなどを学びました。
続いて、子どもたちが向かったのは、航空自衛隊美保基地の近くです。
戦時中、飛行機が敵の爆撃の標的にならないよう隠すために作られた「掩体壕」と呼ばれる施設を見学します。
旧海軍美保航空隊飛行機用掩体美保基地一帯は、かつては旧海軍の航空基地で63基の「掩体壕」が設けられました。今も5基が現存していて、このうち1基は市の文化財に指定されています。
解説員:
「上に土をかぶせて草をはやして木をはやして。そしたら、空から?」
子ども:
「見えない」
解説員:
「見えづらい、ですよね。だから敵の攻撃からここに掩体、飛行機を隠していますよというのが分からないように、そういう構造になっています。
説明を聞いたあと、掩体壕の中へ子どもたちが20人あまり、すっぽりと入ることができる広さです。
参加した子ども:
「(小型飛行機)1台が入れるのがちょっとすごい」
「でかい」
初めて見るリアルな戦争の跡…。子どもたちは興味津々、掩体壕の中を見回し、気になったところを写真におさめていました。
参加した子ども:
「美術館で子どもが働かされているところを見て、やっぱり平和って大切なんだなと思いました」
「(戦争遺跡が)数多く壊されている中で、残っているところは大切に残していかないといけないと思う」
「(友達に)戦争の悲惨さとか平和の大切さとか今、平和だってことがとても大切だってことを教えてあげたいです」
子どもたちは「物言わぬ」証人の声に耳を傾けていました。
米子市立山陰歴史館 笹尾庸嵩主任学芸員:
教科書では学ぶ機会があると思うんですけど、地元でも戦争の被害があったんだよというのを学ぶ機会はとても大切だと思います。社会を担っていく子どもたちに平和の大切さを考えてもらうきっかけになればと思います。
終戦から80年、戦争経験者が直接その体験を伝えることが難しくなる中、戦争の記憶を次の世代につなぐ取り組みが続きます。