2025年は、戦後80年の節目の年です。
ライブニュースあきたでは、13日からシリーズで戦争の記憶を語り継ぐ取り組みや当時を生きた人の思いをお伝えします。
1回目は高齢化が進む「語り部」の新たな挑戦を紹介します。
戦没者たちの遺影が次々と映しだされたあと、終戦前夜に秋田市の土崎地区を襲った空襲のイラストとともに避難する子どもの思い語られる映像が5日、秋田市にある秋田県遺族連合会の事務所で会員たちに公開されました。
こちらの映像は、太平洋戦争などで犠牲になった人の遺族で組織する県遺族連合会がいま制作しているものです。
終戦から80年が経ち、当時を知る「語り部」が少なくなる中、戦争の記憶を次の世代に残そうと、つくることを決めました。
県遺族連合会の田口昭益事務局長は映像を制作する意義について「戦後80年で高齢化して、記憶を残せる語り手が、だんだんいなくなっている。これは活字で残すケースと、映像として生の声で残すと、いろいろな種類があるが、原点は高齢化して対象者が少なくなっているから、後世に平和の語り部としてつくっておく。そういう人間を作らない。それが原点」と話しています。
映像のテーマは「戦禍を生きた女性の思い」。
遺族で連合会の女性部に所属する会員が体験した戦時中と戦後の苦労や暮らしぶりなど、約20の話が盛り込まれています。
読み手は、現役の語り部として活動を続け、女性部の部長を務める笠原幸子さんと副部長の浜田セチ子さん。ともに戦争で父を亡くしています。
笠原幸子さん:
「秋田県の場合は直接、戦場になった所は土崎しかない。やっぱり戦後の悲しみ、辛さの方が多かった。なので、絵に表しにくかったが今、見せてもらい、良かった」
浜田セチ子さん:
「次世代をこれから戦争のない世界。世界の平和を願いナレーションをした」
映像は10月に完成する予定で、会員は5日、動画で使用するイラストと語りの内容を確認していました。
編集を担当するのは、県遺族連合会青年部の部長を務める佐藤勝也さんです。
佐藤さんも戦没者の遺族で、戦争を知らない子どもたちに平和の尊さを訴える教育に貢献したいと参加しています。
県遺族連合会青年部 佐藤勝也部長:
「戦争というものがいけないということ。どれだけひどいことか、分かっているつもりで分からない人がたくさんいて、亡くなった人だけが悲しい、苦しいのではなく、親や旦那に死なれて苦しんだ遺族たちの気持ちを分かっていただきたい。それを分かってもらったうえで、戦争をすると死んだ人のほか、苦しんでいる人がいるというのを子どもたち、若い人に理解してほしい。加えて遺族がどれだけ世間から迫害を受けてつらい思いをしてきたか、その歴史も考えてほしい」
終戦から80年が経ち、当時を語ることができる人は、年々少なくなっています。
戦争の悲劇を繰り返さないために、会員たちによる記憶を伝える取り組みは、これからも続きます。