31日午前6時40分ごろの宮城・多賀城市。

多くの車が行き交う橋の下を流れる砂押川を見ると、川の上流方向に向けて白波が立っています。

これは、津波が遡上したものとみられています。

撮影されたのは、海から2km以上離れたJR多賀城駅のすぐそば。

海から川を遡上した津波が、市の中心部まで迫っていました。

ロシアのカムチャツカ半島で起きた地震から一夜明けた31日も、列島各地で津波を観測。

林官房長官は、今回の津波を巡る人的被害について、死傷者が合わせて11人いることを明らかにしました。

そうした中、気象庁は午後4時30分、北海道や東北などに出されていた津波注意報を約32時間ぶりに全て解除しました。

一足先に津波注意報が解除された神奈川・鎌倉市の由比ガ浜。
津波注意報解除から1時間ほどたった海は比較的穏やかなようにも見え、辺りには早速、海水浴を楽しむ方が大勢詰めかけています。

川崎市から訪れた人:
子どもたちと思い出づくりって感じ。きのうから予定してたんですけど行けなくて、足だけでもつかりに来た。

横浜市から訪れた人:
めっちゃ気持ちいいです、最高です。来るか迷いましたね、きょう。電車動いたら行こうと思った。(やっと解除されて)よかったなって。めっちゃ来たかったから、海。

ビーチの復活に喜びの声。

しかし、依然として津波への注意が呼びかけられる状況が続き、オープンしていた海の家は一部だけ。
しばらくは様子を見ながらの状況が続きそうです。

長期化した津波注意報。
交通機関の運転見合わせなど、様々なところで影響が広がっていました。

大きなスーツケースを手に、北海道・苫小牧港のフェリーターミナルに到着した乗客たち。

津波警報を受けて港に入れず、沖合で待機していたフェリーでしたが、31日午前に相次いで入港しました。

乗客たちが船で一夜を明かすことになったのは、茨城県の大洗港と苫小牧間を航行中だった商船三井「さんふらわあ」合わせて4便。

フェリーの中では、「十分な燃料、あすの朝お昼ごろまで過ごせるほどの食料が十分に積んでおります」という船内放送も。

フェリーは港の沖合を大きな円を描くように航行し続けましたが、一夜を海上で過ごした後、無事到着。

列島各地の避難所で朝を迎える人たちの姿が見られるなど、津波警報などの影響は長期化しました。

影響は様々な交通機関に及び、30日、一部区間で運転を見合わせたJR東海道線の辻堂~茅ヶ崎駅間にある踏切では、こんな問題も。

警報音が鳴り響く踏切を、手でこじ開けて車を通す人たち。
隣の踏切でも同じ動きが。

JR東日本によりますと、運転を見合わせた列車がすぐ近くにあったため、踏切が閉じたままの状態になってしまった可能性があるといいます。

長時間にわたり踏切が閉じっぱなしになり、踏切待ちをしていた車列が延び、やむを得ず遮断棒をこじ開ける人が続出してしまったとみられています。

一方、30日夜の東京・新橋駅前。
東海道線が運転を見合わせた影響で、普段の活気が消え、ひっそり。

自宅が神奈川・小田原市だという男性は、「新幹線の間に合う時間で帰ろうかと。(Q.乗れないから新幹線?)そうそう、しょうがないですよね」と語りました。

首都圏でも列車の運転見合わせが広い範囲に及んだことについては、「普段お世話になっているのでこれくらいは許容します」「結構びっくりしましたね。特にカムチャツカだったので、そこまで影響があるのかっていうのは」と様々な声が。

JR東日本を取材すると、マニュアルに沿った対応だとした上で、津波の浸水が想定される区間を設定し、その区間内に警報や避難指示が発令されている場合は、区間内に列車を入れない措置を行うと説明しています。

こうした中、迅速な津波警報対策をとったのが東京・千代田区です。

大量の帰宅困難者が発生する恐れがあるとして、区と協定を結んでいる帰宅困難者受け入れ施設に対し、施設を開くよう要請。

その呼びかけに、高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」や「共立女子学園」など12施設が応じ、SNSには「千代田区グッジョブ」「千代田区ありがとう」などの投稿が寄せられました。

千代田区の樋口高顕区長は「今回初めて稼働させましたけど、しっかり有効に働いたと考えてます。そうした声を受けてありがたく思っています。これからも千代田区は迅速に対応していきたいと思います」と話しました。

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