太平洋沿岸の各地で津波を観測するなど、列島に大きな緊張が走ったカムチャツカ半島での大地震。

マグニチュード8.7の威力。
その爪痕はさまざまな場所に残されていました。

岸壁に押し寄せる津波。
そして、その脇に立っているのはモアイ像です。

ここはロシアでも日本でもなく、震源から1万2000km以上も離れた場所。
“絶海の孤島”として知られる南半球のイースター島でも津波が観測されました。

一方、一夜明けた日本でも影響が続いています。

31日午前6時40分ごろ、宮城県の多賀城駅前を流れる砂押川の映像を見ると、第1波の到達からすでに20時間近くが経過してもなお、津波が音を立てながらゆっくりと川を遡上(そじょう)しているとみられる様子が捉えられていました。

津波が到達した太平洋側沿岸では、当時、まだ津波注意報が出されている中、関係者らしき人が船上から、いかだの状況を確認するような様子も見られていました。

こうした中、30日から海上で落ち着かない時間を過ごしていたのが客船フェリーの旅をしていた人々です。

北海道から茨城県の大洗港に向け航行していたフェリー「さんふらわあ」の船内では、当面の入港が難しいことを伝える一方で、十分な食料は積んでいるとのアナウンスが。

そして、一夜明けた31日午前、同じく一夜を海上で過ごしていた別のフェリーが北海道・苫小牧港に無事に入りました。

乗船していた中学生:
正直、本当に戻れるか心配で怖かったです。(フェリーの中では)みんなで話をして心を落ち着かせたり、テレビを見て少しでも気持ちを軽くしようとしていました。

今回の津波警報・津波注意報による影響は夏休みを利用する多くの旅行客にも及びました。

滋賀県から北海道・函館を旅行中だった親子連れは、「帯広の方にきょう宿を取ってあって、そこに何が何でも行かないといけないんですけど、もう行く手段がないんで急きょレンタカーを取って」と話しました。

海のレジャーを巡っても混乱が。
まだ津波注意報が解除される前の午前10時ごろ、和歌山・白浜町の海岸では浜辺への立ち入りは問題がない一方、水に近寄りすぎたり、泳ぐことは禁止されていましたが…。

スタッフ:
津波注意報が出ています。今、海では泳げません。

外国人女性:
悲しいわ。泳ぐために白浜に来た。今日ここを離れて東京に戻らなきゃ。

しかし、その後11時には注意報が解除され海に入れるように。
同じく神奈川・鎌倉市の「由比ガ浜海岸」でも11時から海への立ち入りが可能となりました。

丸一日以上ぶりに開放された湘南の海に、利用客の喜びもひとしおです。

利用客は「めっちゃ気持ちいいです!最高!めっちゃ来たかったから海、解除されてよかったです」と話しました。

マグニチュード8.7の地震。
その影響は日本だけにとどまりませんでした。

風光明媚な遊歩道にまで浸水が及んだこの場所。
震源のロシア・カムチャツカ半島から赤道を越え、1万2000km以上離れたチリのイースター島です。

想定外の事態に、人々が慌てた様子で船をつなぎ止めようとするひと幕も。
モアイ像のある“絶海の孤島”として知られるこの島にも津波が到達し、その高さは最大70cmにも及びました。

ロシア・カムチャツカ半島の地震から一夜。
真夏の環境下で行われた避難からは、課題も浮き彫りになりました。

「どういう気持ちも…生まれて初めてだから、こんなこと。この年になって初めて。初めて避難した」と語るのは、函館市内で避難所を利用した90代の住民です。

30日の最高気温が約20度ほどと、比較的涼しかった北海道・根室市でしたが、役所内に設けられた避難所で住民が訴えたのは“寝苦しさ”でした。

避難した人:
あまりよくは眠れなかった。背中が痛くてぐっすりは寝られなかった。部屋の中で風が流れないので暑かった。携帯用の扇風機をつけてなんとかしのげた。

役に立ったのは持参したハンディーファンだったといいます。

今回、津波警報や注意報が発令された地域で目立ったのは車を使った避難行動。
三重県では避難途中とみられる車が崖下に落ち、運転していた女性が命を落とすケースも発生しました。

いくつかの避難先では、渋滞や駐車場に車が密集する様子も見られました。

さらに、混雑を避けようと車中泊をする人の姿も目立ちましたが…。

車中泊した人:
(Q.車中泊で疲れは?)熟睡できないので疲れは残っている。

大勢の人が集中する避難所。そして、真夏という環境下。

地震や台風災害への備えが続く中、さまざまな課題が浮かび上がっています。