テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが特技のイラストを使って天気の豆知識を解説するコーナー。今回は「津波注意報」についてお伝えする。

30日は太平洋沿岸に津波警報、津波注意報が発表された。宮崎県内も津波注意報が発表され、宮崎港では31日午前に60センチの津波が観測された。青島海水浴場には見慣れない旗が掲げられている。これは「津波フラッグ」というもの。津波注意報や津波警報などが発表されていることを知らせるもので、避難を促す合図だ。

津波に関する情報は大きく分けて3種類。「津波注意報」「津波警報」「大津波警報」の3つだ。巨大地震が発生した場合、まず速報的に予想される津波の高さを、「巨大」もしくは「高い」と発表する。「巨大」と発表されたら、東日本大震災クラスの非常事態と思ってほしい。その後15分ほどで、地震の規模がより精度よく把握できるので、「1m」「3m」「5m」「10m」「10m超」と、5段階の数字で発表される。

今回、宮崎県内に発表された「津波注意報」の時に取るべき行動は、「海の中や海岸から離れる」こと。内閣府の計算によると、深さ1メートルの津波に巻き込まれた場合、死者率は100%とされている。 このため警報クラスとなった場合、高台や近くのビルへ避難するようにして欲しい。このとき意識するべきことは、避難は海岸から「遠く」よりも、「高く」避難することだ。

それではどこに避難すればいいのか?街中には津波に関する標識がある。「黄色と黒の三角形」「緑色で、人が津波から逃げて坂を上っている」「緑色で、人が津波から逃げてビルを目指している」この中でどこが安全だと思うだろうか?

「黄色と黒の三角形」は、「津波注意」の標識で、津波が来る危険性が高い地域であることを表している。「緑色」の2つは「津波に対して安全な場所」を示している。津波避難場所は、安全な場所や高台を表していて、津波避難ビルは津波から避難できる高さ、そして耐性のあるビルを表している。自宅周辺もしくは旅行先で、この標識があるかどうか、しっかりと確認するようにして欲しい。

30日に観測された津波の高さは最大で40センチだった。一見するとこの数字、油断してしまいがちだが、「波」の40センチと「津波」の40センチは、まったくの別物だ。「波」は波長が短く、沿岸で砕け散る特徴があるが、「津波」は巨大な水の壁となって、陸上のものを破壊するパワーがある。30センチでも命の危険があるという事だ。
また陸に押し寄せる際の速さは、オリンピックの短距離走選手並み。このため、津波が見えてからの避難では間に合わない。揺れを感じたり、津波注意報・警報が発表されたら、すぐに避難することが大切だ。
(テレビ宮崎)