土用の丑の日にスーパーやデパ地下にウナギの蒲焼きが並ぶ光景は、今や夏の風物詩。
ただ、中国産と日本産との違いは?絶滅すると言われているけれど、ウナギはどこから来るの?どれくらいピンチなの?など、知っているようで知らないことも多いのではないだろうか。
ウナギの保全と持続的利用を専門に研究している海部健三さん(中央大学法学部教授)にその謎を聞いてみると、多くのウナギが絶滅危惧種に区分されている背景には、資源管理の難しさや、国際的な密輸・密売問題などもあり、一人当たりのウナギ消費量が世界一である日本も無関係ではないという。
産地表示と採れた場所は無関係
――ひと口にウナギといっても、天然、養殖、国産、中国産などさまざまなものがありますが、どう違うのでしょうか?
天然ウナギとは自然の河川や湖沼で育ったもので、養殖ウナギとは天然のシラスウナギ(ウナギの稚魚)を採捕し養殖池で育てたものを指します。現在日本で消費されているウナギの99%以上は養殖ウナギです。

国産ウナギは、日本で採れたシラスウナギを日本で養殖したもの(純国産)と思われがちですが、日本は毎年、海外からシラスウナギを大量に輸入しており、多い年は7割以上を輸入に頼っています。国内だけでは養殖に必要なシラスウナギの量をまかないきれないためです。
産地として表示されている地名や国名は、ウナギが一番長く養殖された場所です。シラスウナギが採捕された場所(原産地)ではありません。つまり同じニホンウナギであっても、中国で採れたシラスウナギを輸入して日本で育てれば日本産、中国で採れたシラスウナギを中国で育てれば中国産と表記されます。
食べる量を減らすだけでは増えない
――ウナギは絶滅危惧種に指定されていますが、どれくらいピンチなのでしょうか?