勝山市の奇祭「勝山左義長」が16日、会期の折り返しを迎えた大阪・関西万博で披露されます。実は勝山左義長は、昭和45年の前回の大阪万博でも披露されていて、昭和、平成、令和と55年の時を超えての再演です。
地元の人たちは変わらぬ思いを抱え、進化した左義長を通して福井の魅力を伝えると意気込んでいます。
毎年2月に春を呼ぶ奇祭として開かれる勝山左義長まつり。この伝統のおはやしを万博の特別ステージで披露する「勝山左義長ばやし保存会」が11日夜、本番前最後の練習に臨みました。
「あ、浮いた浮いた」
粋な三味線と歌声に合わせて滑稽な仕草で太鼓をたたく「浮き太鼓」。広いステージで披露するとあって、のびのびとした動きや笑顔を意識して本番さながらの練習に励んでいました。メンバーは小学生から60代までの41人です。
子供たちは「もっと大きく“浮き”をしたい」「すっごく楽しくて愉快な左義長ばやしを見せたい」と意気込んでいます。
この様子を見守っていたのは、55年前の昭和45年に大阪万博で左義長ばやしを披露したメンバーの1人、阿部照伸さんです。
当時、市民ら105人が参加し、3日間にわたって左義長ばやしを披露。市の職員だった阿部さんも一員として絵行灯を手に踊りました。「福井県代表として左義長が選ばれて、私も実際に行って踊ったが、会場の雰囲気がすごくてびっくりした。今、それを若い人たちが引き継いでくれているのが本当にうれしい」
勝山左義長ばやしは、かつては勝山市民だけで盛り上がる祭りでした。しかし、55年前の大阪万博の出演をきっかけに、積極的に外にPRするようになり、今では県の内外から大勢の見物客が訪れる人気の祭りになりました。
保存会では、55年前の大阪万博のために作られた歌詞と、今回新たに「恐竜」を盛り込んだ歌詞の両方を取り入れ、進化した左義長を見てもらいたいと意気込みます。
保存会の会長は「色んな人から55年前はすごくにぎやかにやったと聞いている。それを機に勝山左義長まつりと左義長ばやしがにぎやかになったと聞いているので、55年前に負けじと今はこういう形でやっているんだと示したい」
大人と子供が一緒に盛り上げる万博での勝山左義長ばやしは、いよいよ16日の「恐竜王国福井DAY」で本番を迎え、福井の魅力をアピールします。