7月13日現在、打率ランキングでパ・リーグ4位、得点圏打率2位、出塁率はリーグトップの柳町達選手(28)。プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの外野手だ。開幕は2軍スタートだったものの、セ・パ交流戦では脅威の打率3割9分7厘。出塁率4割7分4厘と12球団トップの成績で交流戦MVP。プロ6年目で初のタイトルをゲットした。
交流戦MVP 初のオールスター出場
「プロ野球生活でタイトルは初めてだったのでちょっと出来過ぎくらいのいい成績だった」と交流戦を振り返る柳町選手だが、リーグ戦再開後は6試合ヒットが打てずに苦しんだ。しかし自らの力で、調子を取り戻すと完全復活。初のオールスター出場も決まった。

主力離脱が相次ぐホークスの中で光る活躍を見せている柳町選手にじっくり、たっぷり、話を聞いた。
小久保監督から「もっと苦しめ」
「(交流戦が終わって調子が落ちたときは)もう、本当になかなかヒットが出ない。もやもやと。どうすればヒットが出るのか、すごく悩みながら、いろいろ試しながらも全然うまくいかなくなって…、本当にどうすればいいのか本当に迷っていた30打席だったかなと思います。ここまで長く、どうしようとか、何がいいんだろうかと迷いながら打席に立つのは、初めての経験だったので…」

好調の交流戦から一転、快音が聴かれなくなった間、小久保裕紀監督(53)から忘れられないアドバイスを受けたという。

「監督からは『もっと苦しめ』と。『本当に自分自身と向き合って、助言とか、人に聞きたくなるところを抑えて、自分自身のなかでこれだっていう答えを見つけろ』という言葉を頂いて、本当に自分自身で乗り越えてやるという思いにさせてくれたかなと思います」

“選球眼のよさ”が不調の原因に
「『なぜ打てなくなったか』と言われたら、やっぱりボールを見よう、見ようとし 過ぎて。ちょっとやっぱり中に入れ過ぎて、ボールに反応できなくなったことが一番の要因かな」。

柳町選手の出塁率の高さ。ヒットでの出塁はもちろんだが、フォアボールの数も現在リーグ2位。しっかりボールの見極めができているといえるが、自分の長所になってきた“選球眼のよさ”が自分を苦しめていたのだ。

「でも、やっぱりいいときは、打ちに行きながらボール球を振らない。見てボールを振らないんじゃなくて、ちゃんと打ちに入って見逃すことができていた中で、やっぱりボールを見ようとし過ぎた結果、慌てて手を出していた。そこがちょっとうまくできていなかったな」

ボールの見極め。それは長くボールを見ることではなく、打ちに行く体勢の中で見極めていく。その僅かな狂いで空振りや、振り遅れ、ボールに対応できなかったと自ら分析する。

「打順も『3番』という場所にいて『打たなきゃいけない』という思いもありながら、そのなかでしっかりコンタクトしようとした結果、ボールを見てしまうというかたちになって、後手後手に回っていたかなと思います」
柳町選手の進化のひとつが「守備」
30打席ぶりにヒットが出た7月4日の試合では、打順は3番から6番に。打った後は1塁ベース上で、思わず笑顔に。「何かほっとしましたね」。インタビューでも笑顔がこぼれた。

「自分のベストヒットですか? 何だろうな、曽谷(龍平)投手から打ったオリックス戦のホームラン(4月23日)ですかね」

「やっぱりホームランというのはすごく手応えのある打席が多いので、いま3本打っている中で選びました。やっぱり外野手なので、ホームラン2桁。それくらい打たないといけないかなとは思っています」

そして柳町選手の進化のひとつが守備だ。柳田悠岐選手、正木智也選手がケガで離脱している中、外野の守備でも輝きを見せている。「やはり守備はあまり得意じゃないといいますか、上手くない方なので、自分のできることは精一杯やろうと決めて、守備にはついているので、そのスタートがすごくうまくいっているかなと思います」と謙遜気味に話す柳町選手。

今シーズンから外野守備走塁コーチを務める大西崇之コーチは「試合のなかで上手くなっている選手だなと思っています。練習でボールを捕るのも大事ですけれど、試合の1球には敵わない。捕殺だったり、ファインプレーだったり、そのプレーで1点を防いだりすると嬉しいし自信にもなる」と柳町選手の守備について高く評価する。

本人としては目指している数字はどこなのか? 「僕自身はやっぱり出塁率といいますか、そこが大事だと思っているので、やっぱり出塁率4割以上というところは目指していけたらなとは思っています」

主力離脱でピンチのホークスをバッティング、守備で支え、クリーンナップも任される柳町選手。今後のペナント争いにその活躍は欠かせない。
(テレビ西日本)