2023年、石川県野々市市の中学校で当時3年生だった女子生徒がいじめを訴え、二学期から転校することになった問題。野々市市教育委員会は、第三者委員会がいじめを認定する報告書を公開した。報告書では、学校側の対応を厳しく批判し、反省を促す言葉がつづられていた。
いじめを認定するとともに中学校の対応を厳しく批判

野々市市教育委員会が公開したのは2023年4月、市内の中学校で当時3年生だった女子生徒が同級生から仲間はずれにされ、最終的に転校した問題について調査した報告書。

報告書では11の項目の内、8つの項目でいじめを認定した。具体的には、修学旅行のグループ分けで、女子生徒にグループに入れない旨のメッセージを送ったこと。女子生徒をSNSでブロックし閲覧できないようにしたことなどをあげている。

報告書で指摘された学校側の不適切な対応
その上で、調査委員会が強く批判したのは、中学校側の対応だ。

学校側はグループ決めで起きた問題を「些細なこと」と認識。聴取や指導などの対応をおよそ2カ月間怠っていた。さらに、担任教師は女子生徒に「同級生は女子生徒を嫌っている」と誤った発言をした結果、いじめ被害にあった女子生徒に対し、さらに心理的な負荷を与える行為であって極めて不適切だったと言わざるを得ないと指摘。この発言によって、女子生徒が心身の不調を来すほどのショックを受け、転校を決断したと言う。

この問題について、教育委員会が夏休み期間中、学校に問い合わせしたところ、管理職は…「リフレッシュウィークに入っているため対応できない」などと答えたそうだ。


学校には一連の対応について走り書き程度のメモしかなく、調査委員会は、学校側の組織的な対応を行う意識の低さが女子生徒に大きな心理的な負担を与える担任の発言につながったと批判。学校側の不適切な対応も女子生徒に苦痛を与える要因になったと厳しく反省を促した。

またこの中学校では、いじめ防止方針が定める常設の対策チームに加え、個別の事案に対応するために設置する個別対応班も設置していなかったと評価せざるを得ない状況だったと指摘した。

他にも調査報告書は、SNSに関する問題意識の低さなども指摘。インターネットを通じて行われるいじめに対する認識・対応が不適切で、早急に改める必要があるとしている。
野々市市教育委員会は急きょ臨時の校長・教頭会議
野々市市 大久保邦彦教育長:
誠に申し訳なく思っております。

報告書を受け市は4日、臨時の校長・教頭会議を開催。
再発防止策として学校ごとにいじめ対策会議を年3回以上開催すること。いじめ防止条例を制定し未然防止のための体制を整えることなどをあげた。

しかし、同じ中学校では、2021年3月にもいじめが発生し女子生徒が自殺。調査委員会が再発防止に向けた提言を出したわずか2カ月後に今回の問題が発生していた。

野々市市の大久保邦彦教育長は、「なぜだろうなという気持ちは当然持っているんですけど、やはりいじめはいけないんだよということを、もっともっと児童生徒に教育していかなければならないし、学校内においてもいじめが起こり得ないような土壌を築いていかなければならないと思っています。」と述べていた。
(石川テレビ)