7月3日公示、20日投開票とみられる参院選。鹿児島選挙区では6月19日時点で4人が立候補を表明している。定数1を争う選挙戦、加速する各陣営の動きに迫った。

自民党公認の園田修光氏は社会保障充実を掲げる

「鹿児島県のこと、国のことを一生懸命やっていきたい」

自民党公認で元職の園田修光氏(68)は、社会保障の充実を訴える。5月の決起集会(鹿児島市)には、鹿児島県関連の自民党議員のほか、初当選同期で元首相の菅義偉副総裁も出席し、「園田さんは私たちの仲間で最も社会保障、高齢化社会の実態をよく知っている」と支持を訴えた。また同月には自民党の森山裕幹事長とともに森山氏の地盤である大隅や霧島、種子島などを周り、支援を訴えた。

園田修光氏
園田修光氏
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園田氏が各地で訴えるのは社会保障の充実。「年金、医療、介護、子育て、国の施策の中で守っていかなければならない」。自身がこれまで築いた人脈を生かし、組織戦を展開している。

自民党公認候補として県議が選ばれなかった経緯から、県議の一部には「しこり」も残るが、園田氏は「毎週1回は必ず県議、市議と選対委員会を開いている」という。「薄いところは誰の選挙区で『市議は誰、県議は誰ですね。じゃあ一緒にやりましょうか』と、顔と名前を覚えてもらうために一生懸命頑張っていきたい」と意気込みを語った。

親子2代で国政を目指す尾辻朋実氏の挑戦

「父・尾辻秀久でも見ることのできなかった景色を今私は見ながら歩んでいる」

無所属・新人の尾辻朋実氏(44)。自民党現職で勇退を表明している尾辻秀久参議院議員の三女だ。自民党公認の選考に漏れ、立憲民主党の推薦を受け無所属で戦う道を選んだ。

尾辻朋実氏
尾辻朋実氏

5月の事務所開きには立憲民主党や連合鹿児島の関係者に加え、尾辻氏の叔母で元自民党県議の尾辻義氏も車椅子で駆けつけた。

鹿屋市での街頭演説。「野党にしっかりと力を与えていただき、今始まった改革の流れを前に進めるために、ぜひ皆さんの力を貸していただきたい」と語る立憲民主党の岡田克也常任顧問とともに街頭演説を行った。自民党・森山幹事長の地盤を切り崩すのが狙いだ。

「語る会」で尾辻氏は「今の永田町は、高齢の男性に人口比率が偏りすぎている」と指摘した。そして「40代の女性の声、皆さんに身近な世代の声が永田町に届いてほしいと切実に思う国民の一人として、44歳で女性であることが自分の最大の売り」と、現役世代として国会に声を届けたいと訴えた。

「平和の外交努力を」共産党公認の松崎真琴氏

「国民の願いが生きる政治をつくっていく絶好のチャンス」と語るのは、共産党公認で元県議の松崎真琴氏(67)。2024年の衆院選でも鹿児島2区から立候補するなど、国政選挙は4回目の挑戦となる。

松崎真琴氏
松崎真琴氏

出馬表明会見で「子供たち、孫たちに希望あふれる未来を手渡していくために全力を尽くして頑張り抜く決意」と述べた松崎氏。同席した共産党県委員会の山口広延委員長は、「どこに行っても共産党のことを語れる方だし、参議院議員選挙でも大いに力を発揮してもらいたいと思って擁立した」と説明した。

6月3日には自衛隊基地がある奄美大島を訪れ、「ミサイルがあると戦場となる危険がある」と訴えた。「政府がなすべきは軍拡競争ではなくて、話し合いを繰り返し粘り強く行っていく平和の外交努力ではないか。今度の参院選で『大軍拡はやめ国民の暮らしを守れ』『平和を守れ』この声を一緒に上げていこう」と呼びかけた。

参政党公認・牧野俊一氏は1次産業の振興重視

参政党公認の新人・牧野俊一氏(39)は、県内の医療機関で働く救急医。京都府出身で、選挙は初挑戦となる。5月には鹿児島市で集会を開き、県内の離島で議員を務める参政党の党員らと、島の現状や課題について意見を交わした。

牧野俊一氏
牧野俊一氏

6月7日には参政党の神谷宗幣代表が鹿児島市を訪れ「皆さんの意思が政治を動かす。日本を考えて、未来を考えて、一緒に日本をよくする運動に参加してほしい」と支持を訴えた。

そして牧野氏は「緊縮財政という失敗した政策のせいで、どれだけの命が奪われたのか」と訴えた。そして「救急の現場で命と向き合っている者として、予備自衛官として国を守ってきた者として、こんな状況到底許すわけにはいかない」を語気を強めた。こうした演説は支援者が動画で撮影しSNSで拡散。牧野氏は「認知も支持も広がっていると思う」と手応えを語った。「国にとって大事なのは供給能力。特に農業・漁業など1次産業に手を入れていかないと、特に鹿児島では大事なのでそこをきちんと訴えていきたい」と強調した。

定数1をめぐり、これまでに4人が立候補を表明している参院選鹿児島選挙区。公示を控え、各陣営、熱を帯びてきている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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